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タイトルバック あの「宇宙人解剖フィルム」はこうして作られた? タイトルバック
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タイトルバック 「宇宙人の解剖」 タイトルバック
カチンコ 031 カチンコ
タイトルバック 2011.07.17 タイトルバック
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 いまとなってはもう随分と昔の事なのでしょうが、アメリカで捕まった宇宙人を解剖しているフィルムが見つかったとして、ビートたけしが司会の特番で放送していました。世界中で一斉に公開されたというこの映像は、ウソかホントかその真偽が論争になっているともいっていました。ある意味懐かしいゴシップ的ニュースのひとつなのですが、その映像を作ったとされる人が出てきた上に、その映画まで出来ていました。今回は2006年のイギリス映画「宇宙人の解剖」について書きたいと思います。

 1995年、海賊ビデオ販売で日々をしのぐレイとその友人のゲイリーは、プレスリーの未発表フィルムを買い付けるためアメリカに渡るのですが、そこで出会った老人から驚くべきフィルムを見せられます。それはアメリカが墜落したUFOから回収した宇宙人の遺体を解剖しているフィルムでした。3万ドルを要求されたレイはイギリスのラズロという裏社会の実力者から資金を得、フィルムの買い付けに成功しますが、その時にはそのフィルムは劣化しすでに映像がほとんど消失してしまっていたのです。ラズロにばれると殺される。そう考えたレイは、友人達の協力を得て、同じ内容の映像を自分達であらためて作り直してしまった。しかもその偽造フィルムを観たラズロはそれを信じてしまい…。命が助かったレイは、同時にこれは商売になると踏んで、今度は外国に売りさばこうと画策していくのです。

 昔からUFOとかは大好きで、深夜番組の11PMの矢追純一のUFO特集とかはいつも見ていました。ブラウン管に映される映像はいつも眉唾なものばかりですが、それでも、もしかしたらと思うものもあったりして、好奇心と恐怖心をくすぐられた、ある意味思い出のある番組だったと思います。しかし不思議なことにこの手の番組は世の中の技術レベルや知識レベルが上がってもなくなることは無く、かといって内容のレベルもさして上がらず、昔ながらのものやそれと同程度のものが今でも流れています。

 それでも最初の頃は説明をつけられない映像などはわりと信じていた(というか信じたいと思っていた)自分ですが、15〜16年くらい前に高倉克佑著の「世界はこうしてだまされた1&2」という本を読んでからはどうしても眉に唾をつける量も多くなり、本文中のロズウェル事件の顛末は自分の中ではすでに真実になっていました。ですからその後、アメリカのTVドラマの「Xファイル」や「ダークスカイ」、カイル・マクラクラン主演のTV映画「ロズウェル」など、”実はアメリカは宇宙人と接触していて政府はそれを隠している”的な内容の作品群は、単純に楽しむだけのものでした。そんな時代からしばらくたった後のこの宇宙人解剖フィルム。またこんなか…と思いつつそれでも当時見てしまっていた自分。さんざん焦らされた後でブラウン管に流れた映像は、それでもある意味及第点だったとは思いました。自分の中では爆笑するほどには酷くなく、かといって到底本物とは思えない程度のもの。そんなものであっても専門家(なんて使い勝手のいい言葉…)たちは本物に見えるだとか、これを創るなら本職でも相当な金額がかかるとか様々な意見があると放送されていました。

 そんないろいろ思い出してしまうこの事件。その事件を描いた肝心のこの映画ですが、ちょっと不思議な作りになっていたような気がします。事件の10年後、あるドキュメンタリー映画監督が秘密を守る契約書にサインされられた上で二人の男と会うことから始まるこの映画。その二人がその宇宙人解剖フィルムを作った男達。つまりこれはその当事者二人による回想録になっています。そして、彼らがこのフィルムを作ったそもそもの動機は前述したように自分の命を守るためで、しかも自分達のフィルムはリメイクだと譲りません。彼等が作ったものはフェイクではあるが、フィックションではない。きちんとオリジナルがあり、それ自体は本物だったと。実話がベースといいながらも、もうこの時点でどこまでが事実なのかがわかりません。そもそもの話がそんな感じなうえ、それをさらに二人が掛け合い漫才的に話をしていく、それを映画にしているのだから、現実からどんどん乖離していきます。虚構で出来ているステージに虚構としか思えない与太話が繰り広げられる実話を元にした映画。なにかある意味シュールです。

 でも、劇中にある宇宙人を解剖する場面の撮影シーンはいかにも家内的手工業的で観ていて面白いです。マネキン職人の妊婦マネキン改造宇宙人に、肉屋が豚の内臓を入れ、葬儀屋がメイクをしたものを週末カメラマンが撮影する。ケバブ屋のオーナーでもあるカメラマンが妙にリアリティを重視しアングルに凝ったりして気分はもう大物映画監督になっていたり、出演者や周りで見ている仲間たちの能天気さは本当に楽しい。撮影前のキッチンに横たわる解剖前の宇宙人のえづらもなにか不思議な雰囲気で可笑しいのです。

 映画はそんな解剖フィルムでっち上げの前半から一転、後半はこのフィルムを使って一攫千金を目論むレイが世界中を飛び回ります。普通に考えればバレるだろうということも気にしません。ゲイリーの忠告等どこ吹く風で、世界中のTV局に口八丁手八丁でフィルムを高値に吊り上げて売りさばいてしまいます。映画的には真相を探るものなどが出てきて危機に陥る…なんて展開もあるのかなとも考えましたが、たとえ出てきてもそこら辺りはそれほど重要視されず、映画は軽快なテンポと流れを保ちながら明るい雰囲気のなか突き進みます。撮影したカメラマンにスポットが当てられれば、偽者をでっちあげたりと結局彼らが大金を得るという結末になるのです。

 純粋に良質なコメディといった感じで、扱った内容の割には後くされの悪さもありません。自分は知りませんでしたが主演の二人はイギリスでは有名なMCコンビ。彼らの息の合った演技もその要因なのでしょう。そんな彼らが演じる二人は世界中の人間をだましたことになっていて、本人たちにもそうした自覚はあるのでしょうが、罪悪感は感じれません。確かにそうだと思います。彼らのフィルムを買ったTV局たちはそれを真実として報道の義務を感じて放送したわけではないのでしょうから。

 そもそもTV局がこれを真実として考えているなどありえないことでしょう。映像の表も裏も知っている彼らがこんな子供だましに引っかかるとは思えるわけなどなく…。彼らの興味は視聴率です。たとえ嘘でも視聴率さえ取れれば文句はない。まして真実として持ち込まれたフィルムならそれがどんなものでも責任は自分達にはありませんし、嘘が分かれば分かったでまた番組として成立します。劇中では、TV局がそのあまりの視聴率の高さに驚喜するシーンや、追番組をどんどん組んでいく様がしっかり描かれています。レイとゲイリーと仲間達にとっても儲け話なのでしょうが、TV局にとってもリスクの無い金のなる木、さしづめ宇宙人バブルだったのでしょうね。(そもそも超能力を扱った番組やUFOの番組も彼等TV局の協力やヤラセが無ければ成り立たないものが多いはずです。前述した「世界は〜」ではTV放送されたUFOの映像を検証し、その多くがTV局自体が捏造していると結論づけていました。)

 個人的にはラストシーンが印象的です。それはオリジナルのフィルムが僅かながら修復されて戻ってきたシーン。ここで初めてオリジナルを観たゲイリーはレイが言っていたことが嘘ではないことが分かるのですが、正直このオリジナルフィルムとして流された映像は自分的にはかなりいいと思ったのです。やはり本職の映画人が撮ると違うという感じ。こっちのフィルムが流れていたら信じる人も多かったのではないかと思える出来。(解剖シーンではなかったのですが)本物として世に出た偽者より明確な偽者ながら前者よりも本物に見えるしろもの。こんなところも現実としての拠り所が薄れていく今の世界を象徴しているようで何か不思議と面白かったんです。

 ”ネス湖のネッシー” ”アダムスキー型UFO" など、永らく本物ではないかと思われていた写真などが相次いで捏造であることがわかってしまった昨今。夢の無い時代になったのかもしれませんが、彼らが売っていたのは夢では無く名前であり、結局目的は金でした。この映画の二人も同様です。そういう二人は映画のラストに本人自ら出てくるのですが、彼らはこの映画の製作総指揮だったのですね。ということはこの映画は、”自分達が宇宙人解剖フィルムを作ったと10年後に暴露するレイとゲイリーの二人をドキュメンタリー監督が映画に撮る、という話をレイとゲイリーが映画にする”というなんとも複雑ながらやはり虚構と現実がグチャグチャの映画だったわけです。しかし、そこに発生する金だけは現実です。彼らが自分達のフィルム捏造を暴露してしまったタイミングは映画の公開前。つまりは映画の宣伝? ここまでくると彼らの金儲けへの執着心は呆れるのを通り越して清清しささえ感じるのです。

 

 この映画のように自作の偽造写真や映像で、名前を売り、金儲けをするような人達がいることは今も昔も変わりません。今から100年近く前にもやはり1枚の写真が世界中を驚かせ、その写真の主が注目された事がありました。その事件を起こした張本人は二人の少女。しかし彼女達の動機はすこし違っていました。次回はその事件の顛末を描いた映画「フェアリーテイル」について書きたいと思います。

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フィルムケイ01
ぬいぐるみと少女

●SCENE-031「宇宙人の解剖」

●SCENE-032「フェアリーテイル」

●SCENE-033「犬神家の一族」

●SCENE-034「悪魔の手毬唄」

●SCENE-035「天河伝説殺人事件」

●SCENE-036「浅見光彦ミステリー」

●SCENE-037「オリエント急行殺人事件

●SCENE-038「名探偵登場」

●SCENE-039「刑事コロンボ」

●SCENE-040「サブウェイ・パニック」

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