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カチンコ
映画タイトル少年
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タイトルバック 名探偵金田一耕助登場! タイトルバック
タイトルバック 「犬神家の一族」 タイトルバック
カチンコ 033 カチンコ
タイトルバック 2011.07.31 タイトルバック
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 日本を代表する名探偵といえば、やはりまず名前があがるのが金田一耕助。横溝正史の生み出した、このふけだらけのもじゃもじゃ頭とよれよれの袴がトレードマークの探偵は、1946年の初出以来何度となく映像化されて認知度も高かったとはいえ、それでもこのキャラクターを爆発的に広く世に知らしめたのは、当時大ヒットを記録した角川映画第1作「犬神家の一族」(76年)でした。

 信州財界の巨頭、犬神佐兵衛が死に際に残した遺言状の想像を絶する遺産分与の条件。その内容から危険を予期した顧問弁護士から調査の依頼を受けた金田一耕助。しかし彼の目の前でその遺言を巡り、三人の娘とその家族、そして関係者達が不可思議な連続殺人事件に巻き込まれていくというストーリー。

 空前の大ブームを巻き起こしたというそんな映画が公開された1976年当時は自分はまだ小学生の低学年でしたが、なんとなくながらもこのブームは覚えています。子供ながらにやはり角川書店の宣伝戦略にしっかり毒されていたのでしょう。公開当時映画は観ていないはずなのに、湖の逆立ち死体や白いマスクの男などのショッキングな映像はいつまでも記憶の隅に残っていました。親に”金田一耕助の推理ゲーム”なんてボードゲームを買ってもらったのも覚えています。)ですから、本作を初めて観たのがいつかははっきり覚えていません。何せ映画を見る前から何かしら深層意識に刻まれていたようなこの映画。高校生のときにTVで観たのが一番古い記憶ですが、その時でさえ何度となく観た記憶があったのです。

 そんなこの映画ですが、今までにも何度もTVドラマ化もされ、そのストーリーは周知のごとくといった感じなので今ではあまり感じませんが、改めて考えるとその内容は結構分かりづらいものだったのだなと思います。そう思う何よりの理由はあまりに多い登場人物。犬神家の三姉妹とそれぞれの夫と子供達、青沼親子に珠世に猿蔵等々、画面に犇く縁者達。親族だけあって名前も似ているし、しかも彼らのその行動や言葉は一様に一癖あるものばかり。そんな中で起こる事件はまず依頼者の弁護士殺害から始まって、珠世に危機が迫ったかと思うと、遺言状の内容が明らかになってからは遺産を受ける資格がある孫達が殺されていく様が凄いスピードで展開されていくのです。

 普通なら理解させるにも汲々としてしまいそうですが、それでもわりとすんなりそれぞれのキャラクターや人間関係が頭に入ってくるのは、最初の大広間にほぼ全員関係者を集めた前での遺言状開示のシーンで、それぞれの人物をお互いの関係も含めて一気に説明してしまい、その後のシーンも含めて彼らの言動や行動からある程度の人物像まで見せているからでしょうか。しかも同じシーンで遺言状の内容を説明して、誰が死ねば誰が遺産を受け取ることができるのか明確にして、観ている側からすると殺される人間によって犯人を逆算できるなど、最初にしっかりルールを提示しているからだと思いました。

 とはいえ、そもそも観ている側からするとそんなじっくり犯人当てをするという本格推理物を期待していたわけでもないと思います。もちろん石坂浩二演じる金田一耕助の飄々としたキャラクターや加藤武の「よ〜し、わかった」も本当に魅力的で観ていて楽しいのですが、この映画の面白さはなによりその画というかビジュアルだと思うのです。劇中随所にはめ込まれたシーン群、菊人形に挿げ替えられた生首、屋根の上の雨ざらし死体、湖面に浮かび上がる首なし死体、そして湖面に突き出た逆立ち死体というそんなショッキングでありながらどこかユーモラスにも感じる映像や、頭巾をとった佐清の真っ白いマスクと更にそれを脱いで素顔を晒した瞬間、長女松子が青沼静馬を殺すときに浴びる尋常ではない血の勢い。そんな、映画なればこその映像は十分過ぎるほどのインパクトを持っていました。

 他にもこの映画が画的に成り立っていると思えるシーンは多々あります。まずは冒頭のオープニングクレジット。真っ黒の背景に太明朝の白い文字で画面いっぱいに穿たれるスタッフやキャストの名前。縦書きと横書き、またその両方がひとつの画面に同居、規則性が有るのか無いのか解らずしかも読みづらいのに、シンプルで美しくすごく格好良い、観るのが楽しみなクレジットでした。(このオープニングはこの金田一シリーズの特徴のひとつでした。最終作の「病院坂の首縊りの家」が違ったのがとても残念だった記憶があります。)

 そして、ストーリーを現代に移築などせず原作どおりの舞台設定のため再現された終戦当時のセットや町並み。金田一が歩く那須の町は当時の面影を十分にたたえているようでしたし、旅館や屋敷内のシーンは特に大好きで、自分には”終戦当時の現実”という雰囲気や空気感に説得力を感じました。変色して新旧色が違う畳、染みが浮き出たすすけた壁など、他の映画やドラマで見られるような時代考証に沿ってはいても小奇麗すぎるセット然としたものではなかったし、昼でもなおうす暗く、夜には部屋の四隅まで光が届かない室内や奥が漆黒に塗りこまれる廊下のカットなど、その画面の暗さは肌に感じる現実的な恐怖感がありました。自分より上の世代ではかつての現実の風景で懐かしいだけかもしれないし、下の世代では記号的なものだけかもしれませんが、自分にとっては小さかった頃の漠然とした記憶の中にのみ存在する風景。親の実家などで感じた外の明るさと対照的なほの暗い家の中。和室の襖などを開けるときにその先の何かに一瞬躊躇してしまう感覚。小さい時分の曖昧な記憶であるが故に、今では現実とも想像とも区別できないそんな自分の中の闇に対しての怖さというか畏れというようなものが画面の情景とリンクしてしまうために、尚更この映画に現実感と言いようの無い恐ろしさを感じてしまうのです。

 監督の市川崑の名前はこの映画で覚えました。画の面白い監督として。そんな監督がつくった本作は、しかしストーリーだけ見れば相当に漫画的なお話だったと思います。ラストで佐清が「偶然です!おそろしい偶然が何度も重なったんです!」と言っていたように、その展開は現実なら奇蹟でしょうが、映画ならただのご都合主義でした。そんなストーリーを市川監督はその画の派手さで驚かせ、画の暗さで怖れさせ、画の緻密さで現実感を想起させました。そうして描き出されたこの映画は、その舞台である終戦直後という混乱の時代と、古くから伝わる日本古来の因習とか血族とかという何か禍々しくもあり畏れもある購えない伝統のようなものと混じりあい、奇跡的な偶然さえ起こりえる、そんな混沌さを醸しだしていて、強烈に”感じる”映画になっていたと思うのです。

 最後に2006年のリメイク版について少し。この映画は前作を30年ぶりに同じ石坂浩二主演で再映画化したのですが、観て驚いたのは、ストーリーはもちろん、シーンやカット、音楽までほとんど同じということ。新しい解釈などはなく、前作をそのままなぞっている感じ。キャストなども石坂浩二のほか、加藤武、大滝秀治なども同じ役で出演し、他のキャストも前作のキャストのキャラクターや雰囲気を持った役者を配役していましたし、灰皿や米袋の柄まで前作と同じというとにかく強く前作を意識したつくりになっていました。ただ、尺が短くなったためか、それとも今風ということなのか、同じシーンや同じカットでも台詞が説明的になっていたり、演技も少し鼻につく部分を感じました。死体が見つかるシーン等でも何か蛇足とも思えるカットなどが増えていたりして、演出的にも少し勢いが無くなった感じ。それでもこれだけならまだちょっと気になる程度なのですが、ひとつだけどうしても馴染めなかったのが、珠世を演じた松島菜々子。他のキャスティングと違い何か妙に浮いているというかハマっていない感じがしました。別にこの女優さんが嫌いなわけではなくもちろん美人に違いないのですが、前作の島田陽子が演じたキャラクターの雰囲気、特に彼女の儚さというか透明感というものが松島菜々子には全然感じることが出来なかったのです。いくら周りが絶世の美女といっても共感できず、まして深田恭子が”それはそれは美しい人”と言う台詞には”本当にそう思っている?”と疑問符がついてしまって…。こうなると前作の島田陽子の配役や演技は重要だったのだなと改めて感じてしまいます。それでもこんな映画を観れると思っていなかったので、なにか懐かしいものに会えた同窓会のような映画に感じました。

 

 次回は同じ石坂浩二&市川崑コンビで作られた金田一シリーズの第2弾で、シリーズ最高傑作との呼び声も高い「悪魔の手毬歌」について書きたいと思います。

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ぬいぐるみと少女

●SCENE-031「宇宙人の解剖」

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