そして続編の「FX2 イリュージョンの逆転」。 前作から5年、タイラーは第一線を退き、おもちゃ等を作りながら、恋人のキムとその子供のクリスと暮らしている。ある時、キムの元夫で刑事のマイクから連続殺人鬼の逮捕協力を依頼される。前回の経験から断るも、クリスの期待もあり、またしても引き受けてしまうが、 |
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結局、殺人犯とともにマイクも殉職するという最悪の結果に。しかも、現場ではマイクの上司のセイロックが不信な行動を。隠しカメラのテープの存在から、今度はタイラーが命を狙われ、更に、マイクが残した秘密のデータを巡ってクリスまでもが危機に陥る。タイラーが助けをもとめるのは、盟友レオだった。 まず、冒頭の映画の撮影シーンからはじまるストーリーは、基本的に前作を踏襲しています。タイラーに現実のトリック効果の仕事の依頼がきて、仕事の後、自分の命が狙われるという大枠は同じ。ただ、個人的にはまず、しっかり前作から連想される時間が経過していたことが嬉しかった。前作のラストの台詞どうり、タイラーは基本的には引退しているが、前以上に精力的に特殊効果の世界を満喫しているし、レオは警察をクビになってはいるが、探偵を生業に、趣味でバーも開いている。例えばエイリアンシリーズのように、前作で生き残ったキャラクターが主人公が寝ている間に死んでましたなど、前作と続編が直接連動しないため、設定の辻褄をあわせるために経過時間を人員整理に当てててしまうようなのは得意ではありません。(いったい前作は何だったのと思ってしまう。) しかし、なにより前作との違いは、そのひとまわり大きくなったスケールと細かくなったディテール。冒頭のシーンは前作のハードボイルドものから金のかかりそうなSFものになっているし、タイラーは今回パソコン等のハイテクを駆使して、特殊効果を演出する。その代表が操りロボット(?)のブルーイ。特殊なスーツを着ることによって人間と同じ動きをすることが出来る、等身大のピエロ型の自立ロボット。(詳しくはないですがモーションキャプチャーでCGではなく実際のロボットを動かすみたいな)このブルーイが大活躍。殺し屋の襲撃シーンでは、殺し屋と組み合うのはこのブルーイで、後ろでスーツを着たタイラーが同じ動きをしていたり、逆にタイラーが直接もみ合っているシーンでは、画面の横でブルーイが一人でじたばたしていたり、と緊迫感とユーモアが混在する、見た目に普通と違うアクションシーンになっていておもしろい。他にもプロジェクターや小型カメラ、スモークマシンなど一見高そうなハード環境が充実していて、しかもそれらを、FXマンらしく専門的な技術とハイテクで使いこなしているので、前作よりずっとFXマンとしての説得力が増している。ヒット作のスケールアップは世の常ですが、FXでは前作ラストで二人は大金を手にしているので、この状況にも無理がない。 物語はこの後、迷宮入りになった20年前のミケランジェロの純金メダル盗難事件を軸に、怪しい警部セイロックと情報屋ニーリー、レオの知り合いのリズ検事補やマフィアまで絡んできて二転三転。ショッピングモールでクリスが殺し屋におそわれながらもモデムでデータを送るシーンでは、アメリカではもう子供が簡単にパソコンのデータをやりとりするような時代なんだと妙に関心したり、同じショッピングモールでタイラーたちが襲われるシーンでは、店の商品を利用して殺し屋を撃退するなど(まるでTVドラマ「冒険野郎マクガイバー」のよう)、映画としての面白さは満載。ストーリー展開も、タイラー主導の展開からレオ主導の展開へ上手に方向転換するなど、前作と方法を変えながらも主役の二人のキャラクターをしっかり見せています。クライマックスは前作同様マフィア邸にアイテム持参で乗り込み、特殊効果を駆使して敵を倒すし、今回はレオもそれに便乗。セイロックがメダルを手に入れ、それをマフィアに1000万ドルで売り渡すという真相が明らかに。 ラストもきっちり前作の流れを受け継いでいます。セイロックは金を持ってヘリで逃げるのですが、そのヘリのパイロットはブルーイ。しかもそのブルーイは彼の金をもって飛び降りる。パイロットがいなくなってパニックになるセイロックを尻目に、今回もタイラーとレオの二人はマフィアの金1000万ドルを手に入れるのです。しかも、タイラーは黄金のメダルも横取りしていて…。「馬鹿野郎、マフィアは買い取ったメダルを教会に返そうとしていたんだ」とレオ。「聞いてなかった…」とタイラー。洒落た方法でメダルを返すシーンも含めて、前作以上の爽快さ。 前作の基本的な面白さは全て取り入れ、ストーリーラインもそのままに、でもけっして焼き直しただけの退屈さはありません。小さいながらも全体のスケールアップは設定やアイディアにまで至り、テンポもバランスも前作以上の痛快作。でも不思議なのは、この映画を撮ったスタッフがメインキャストと制作以外、全部変わっているということ。ここまでオリジナルの面白さを継承しているのに。「ターミネーター2」や「ハイランダー2」のようにオリジナルスタッフが創ることが必ずしも良いこととはいえないのかもしれませんね。
このFXシリーズですっかり好きになった、主演のブライアン・ブラウンとブライアン・デネヒーのダブルブライアンコンビ。もちろんこの二人は色々な映画に出ていますが、その中でそれぞれ、同じ”戦争”というテーマを少し角度を変えて扱った映画があります、次回は、自分の中でも印象深いそれぞれの映画、まずはブライアン・ブラウン主演の「アンボンで何が裁かれたか」について書きたいと思います。
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