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 千葉真一。日本映画を代表するアクションスター。本人はもちろん、後進を育成するために創ったJACは、その後の日本映画のアクションやスタントに欠かせない存在となりました。名前を知ったときからすでに大スターでしたが、海外にも名前が知られていたことを知ったときは彼のスター性を更に認識させられました。今回は、その千葉真一の主演作、前回の流れそのままにTVドラマ「服部半蔵 影の軍団」について書きたいと思います。

 80年に制作されたTVドラマ「服部半蔵 影の軍団」といえば、同じ年に制作された映画「影の軍団 服部半蔵」をまず思い出します。メインタイトルとサブタイトルが逆のこの映画(当時友達に教えてもらってはじめて知りました。)、将軍徳川家光亡き後の、幕府の実権争いに関わっていく三代目服部半蔵とその仲間達、そして宿敵甲賀衆との戦いを描いていました。主演は渡瀬恒彦。あるいはタイトルが示すところなのか、人間的な(というか我がままな)服部半蔵をナチュラルに演じていました。

 この映画、色々な意味で斬新ではありました。まず服部半蔵が二人いるという設定。幕府から咎無き罪により廃嫡させられた服部家には三代目として”上の半蔵”と”下の半蔵”と別々に存在していて、それぞれに目的を持って行動していました。また、アメフトの動きを取り入れたというアクションは今までの忍者の動きとは違った集団アクションとしての面白さがありました。個々としての忍者という存在にしても比較的現実的にとらえているため、超人的な能力を持つ者はなく、特に最後の城を崩すくだりでは、何日も前から城に忍び込み柱を地道に少しづつ切っていくなど、忍者=秘密工作員、というイメージを連想るような描き方ではありました。

 ただ、このアメフトの取り入れ方が少し”?”なのです。防具をつけたその立ち姿は見事な逆三角形のシルエットをしていて相当に格好いいのですが、戦うときはアメフトの構えそのままに敵味方対峙して、合図とともにガンガンぶつかっていくだけ。しかも途中まで刀も使わず、ぶつかっては引き、の繰り返し。正直なにをやっているのかよく分からなかったのです。確かアメフトのヘルメットそのままをかぶっている忍者もいて、それが狙いなのか、なんなのかもわかりません。緒方拳演じる敵の甲賀の頭領にしても、ふんどし一丁の身体に泥のようなものを塗りたくっているのですが、結局それが何のためにしていたのか最後までわからず、あれではただの変態にしか見えなくて…。結局、面白い要素が多々ありながらイマイチ入り込めない映画になっていました。

 そんな映画版に対してのTV版が「服部半蔵 影の軍団」。これは本当に面白かった。主演はもちろん千葉真一。舞台設定は映画版とほとんど変わりませんが、こちらは服部半蔵は一人。服部家が取り潰されたため、野に下った三代目服部半蔵とその一団が江戸で湯屋など表の仕事をしながら、世の中で起こる様々な悪事を挫くという物語。基本的には1話完結ですが大筋もしっかり存在し、また時代劇には多い勧善懲悪とも違い、ストーリーも非常に練られていてテーマ性を感じる話もたくさんありました。人気も高かったのでしょう。その後、パート2、3、4、そして幕末編と続いていって、パート2からは真田広之や志保美悦子などもレギュラー出演するようになり、JAC総出演という感じでした。それぞれ時代も役も異なっていましたが(パート4と幕末編は同じ舞台)、千葉真一が伊賀の頭領を演じることや、コメディリリーフとして登場する樹木希林とのコンビはシリーズを通して変わらず、笑って、泣けて、JACが支えるアクションに興奮するとてもバランスがいいドラマだった事を覚えています。(パート2の”敵は全部で26人いてそれを毎週倒していく”という設定はテレビの編成が露骨に出すぎていてちょっと嫌でしたが。)

 そんなシリーズの中で一番好きなのは、やはりシリーズ1作目。特に前半の第10話までは大好きでした。ここでの主役、三代目服部半蔵は二代目半蔵での教訓から幕府に仕えることを良しとせず、自分の信じた道で戦おうとします。幕閣の中では良識派の保科正之とはつかず離れずの関係。公儀お庭番である甲賀衆の組頭水口鬼三太は幕府の実権争いなどを利用して事あるごとにそんな半蔵と伊賀の一党を倒そうと目論みます。また親を二代目半蔵に殺されたお甲というくの一を刺客として送り込むこともしますが、そのお甲は半蔵を好きになってしまって…。

 基本的には色々な事件が起こる、もしくは起こすたびに甲賀が暗躍するのですが、面白いのは伊賀が自由に行動するのに対し、甲賀は曲がりなりにも公儀お庭番、いわば公務員ですから、幕府に害ありとすれば徹底して伊賀に対することができるのに、伊賀の目的が幕府の利益と一致すれば、場合によっては憎き伊賀と共同で事に当たらなければならないこと。伊賀にしても基本的に保科の依頼を受けることは多いものの、対立することもしばしば。お互いに明確な立場は存在せず、どっちに転ぶかわからない危うい関係の中で半蔵は正義を信じて戦うのですが、結局成就出来ないこともあるのです。危うい関係なのはくの一のお甲も同じで、半蔵を陥れる罠を工作しながらも片一方で命がけで助けたりと葛藤が多いキャラクターでした。そんな状況だからこそ魅力的に展開するストーリー。再興を掲げ暴力に訴える同じ伊賀の一群を、もっと多くの伊賀の仲間を守るために彼らと戦う事を選ぶ第2話。水口鬼三太との直接対決、その形容しがたいアクロバティックな動きで片腕を切り落とす第9話。そしてついに甲賀との全面対決で雌雄を決する第10話。戦いの後、伊賀衆が見つめるのは河原に点在する甲賀衆の骸。達成感ではなく、寂寥感がにじみ出るラストは印象深いものでした。

 またこのドラマのもうひとつの面白さはやはりアクション。これまでの時代劇での殺陣のようにキリキリとした静と剣を薙ぐ動のような動きとは違い、終始躍動感に満ちた動き。剣とあわせて蹴り、バク宙など体術も使いながらのアクションはJACならではという感じです。半蔵の独特な二刀流、それぞれの剣の切っ先を天地に向けて二本分の柄を両手で持ち背に担ぐ構えも格好良かった。忍者物としても荒唐無稽な忍法はあまり使わず、かといって現実的でもなく、映画版に劇画調を足した感じ。油紙みたいなもので顔の形も変える変装術や、色々な火薬を縦横無尽に使ったりします。(乱戦のなか爆薬を使うシーンもあり、かなり危なく感じるところもあったのですが)ポピュラーな忍術としては土遁の術などを半蔵が使ったりしますが、このけっして派手ではない術がこの「影の軍団」の世界では凄い術となるなど、適度に抑えた世界観も大好きでした。

 大昔は男の子だった身分としてはやはり忍者の類いが嫌いなわけはなく、「サスケ」や「カムイ外伝」などのアニメはよく見ていましたし、忍者の二雄、猿飛佐助と服部半蔵も大好きでした。すこし年齢も上がると「西遊記」の孫悟空をモデルにしたというフィクションの猿飛佐助よりも史実に登場する服部半蔵のほうがより格好良いと思うようになるのですが、後になって現実の二代目半蔵がお家断絶になったのが実はかなりの暴君であったからということを知ってしまって…。これは相当ショックでした。史実だから良いというわけではないのかと。それからはやはり忍者という存在にはフィクションの要素が強いほうがいいのだと好意的に解釈するようになりました。

 最後にこのシリーズ1作目で一番好きな話を紹介します。それが第3話「悪魔が呼んだ奥州路」。演出は映画と同じ工藤栄一でした。

 烏山藩3万石は百姓一揆の収拾の不手際を理由にお家断絶、城と領地没収との沙汰を幕府から受けます。そしてその城受け取りを命じられたのが近隣の譜代ではなく遠方の真田藩10万石。幕府の悪意を感じるものの受け取りに行かないわけには行かず、かといってそもそも烏山藩への幕府の断は理不尽極まりないもの。烏山藩からすれば簡単に城を明け渡すことなど考えられず、かといって期日までに受け取りに成功しなければ今度は真田藩が幕府から厳しい処断を受ける。そのため真田藩は支藩の平久保藩1万石へその命令をそのまま押し付けてしまうのです。主藩のためと平久保藩はこれを受けます。烏山への途中江戸で加勢の浪人を集める際、服部半蔵からの助力を得ることはできたのですが、それでも成功の確率などほとんどありません。わずか20〜30人の城受け取り一行では出来る事などほとんどなく誠心誠意お願いすることだけと真摯な態度。しかしその後、老中の酒井と真田藩家老との間に、受け渡しを失敗した際に平久保藩を取り潰しその領地を自分のものにするという密約があることが分かるのです。憤る一行。それでもなお平久保藩家老はまずは受け渡しを成功させるとの意見を変えません。そんな彼らを真田の忍が襲ってくるのです。彼らに浪人たちの他、家老までもが殺されてしまい、残ったのは数人の藩士と半蔵一門。やっとの思いで城に辿り着いたそのわずかな一行に対して、城中から出てきたのは一人の老武士。彼に案内されて入った城内で彼らが見たもの、それは、藩士全員が自決した姿でした。

 この後、半蔵たちが真田藩の家老を倒す件はあるのですが、この話で感じるものはやはり弱い立場の人の心。劇中、烏山藩の人達は最後の場面以外一切出て来ず本当の胸中など明示されないものの、城を枕に討ち死にして武士の本懐を遂げるとともに、幕府の理不尽を周囲に訴えることは当然の選択であるにもかかわらず、彼らが選択したのはそうではないもうひとつの方法でした。城を受け取りにくる平久保藩の境遇が自分達同様弱い立場であるが故と理解し、どちらにしても破滅する自分達の身ならばせめて同じ境遇を与えたくは無いという思い。前に書いた「アンボンで何が裁かれたか」にも描かれた”権力と特権を持ったものが持たないものを犠牲にする”その理不尽な状況の中で彼らがその思いを成すベく選択した手段は、しかしあまりにも哀しすぎるものでした。それでもそれは平久保藩に届いたはずなのです。同じ弱い立場のものとして。しかし、そんな思いを感じる事等出来ない立場の存在もいます。そしてその存在である”権力と特権を持ったもの”は、そんな状況をけっして理解することなど無いのです。良識派であるはずの保科正之が密約の証拠である老中の密書を半蔵の目の前で焼き捨てたように。

 

 次回も引き続き千葉真一主演の作品を、今回同様時代劇から「柳生一族の陰謀」と「魔界転生」について書きたいと思います。

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