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タイトルバック 千葉真一が体現する生身のアクション全開映画 タイトルバック
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タイトルバック 「激突 将軍家光の乱心」 タイトルバック
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タイトルバック 2011.04.23 タイトルバック
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 「柳生一族の陰謀」のヒットにより、復活の気運が高まりながら同じような作品ばかり作ったのかが祟ったのか、あっという間に影が射した時代劇というジャンル。夢よもう一度とばかりに”柳生一族の陰謀より10年、満を持して放つ大型時代劇”という謳い文句とともに東映が89年に公開したのが今回の「激突 将軍家光の乱心」です。

 徳川の世が三代をむかえた時代、将軍家光は長男竹千代が自分に容貌も性格も似ていないというだけで病的に嫌い、次期将軍には溺愛する次男の徳松をつけようとします。そのため佐倉藩の庇護のもと日光で療養していた竹千代のもとへ老中阿部重次を向かわせ、江戸城での元服を行うため登城せよと命じるのです。狙いは登城途中での竹千代の暗殺。竹千代を殺されても期日まで江戸城に着かなくてもお家断絶。どちらにしても選択肢のない佐倉藩々主堀田正盛はお家のため、そして何よりいまだ幼い竹千代のため、自らを囮として行軍し敵をひきつけ、竹千代は別のルートで江戸城へ向かわせます。その竹千代と供の人間を守るのが堀田が雇った7人の凄腕浪人衆。対して阿部の命により大目付伊庭庄左衛門が幕府の大軍を率い彼らを追う。ここに7人の浪人対大幕府軍の戦いがはじまります。

 こんな感じでスタートするこの映画ですが、ストーリーはこれで全部。他にはほとんど何もありません。謀略も裏切りもどんでん返しも何もなし。あるのはただひたすらに江戸を目指す竹千代一行と彼らを殺そうとする刺客たちとの攻防戦。それを徹底して迫力あるアクションで描いていったまさに大冒険活劇。別の映画を観にいった劇場でこの映画の予告編が流れたときは、その迫力あるアクションにまわりの観客から「おーっ」という歓声も聞こえたほど。そういう自分も予告編を観て劇場に足を運んだひとり。アクション時代劇といわれたものは多いですが、ここまで徹底してアクションを描いた映画は当時見たことがありませんでした。

 出演は主役である浪人のリーダー石河行部役に緒方拳。彼が率いる浪人衆には腹心役の長門祐之のほか、元中国拳法の総合チャンピオンで「阿羅漢」などにも出演した胡堅強や若き日の織田裕二なども浪人役で出ていました。特に胡堅強は剣VS拳法の対決のほか武術演目なども披露していて、素晴らしいものでした。多分日本語は話せないのでしょう。だったらということで聾唖者の設定にしていたのも妥当でした。そして、敵軍を率いる伊庭庄左衛門を演じるのが千葉真一。そしてそれ以上に重要なのがアクション監督としての彼。相当に力が入っているのが素人目にもわかるほどで、画面からは間違いなくそのパワーを感じました。

 そこまで気合の入ったアクション、まずは冒頭からアクションの連続。いきなり大木で作った杭をつっこませる大技で攻めてくる大勢の敵に対し天井から舞い降りいきなりばったばったと切りまくる緒方拳。浪人達も次々に登場し、その得意技で敵を倒していきます。ナレーションによる舞台説明とか、幕閣の問答シーンだとかそういうまどろっこしいものは一切無し。そもそも最初から浪人達も七人揃っているからメンバー集めのシーンも無し。いきなりのアクションは007シリーズのようにのっけからスクリーンの中に観客を引き込んでくれます。こういう映画は興奮するし余計な事も考えなくていいし気持ちよくて大好きです。

 日光を出てからも足尾銅山で捕らえられ人質になった竹千代と従者を奪回するシーンでは、緊張感漂うなかにコミカルな部分も入れながら派手な爆破シーンまで結構見せてくれますし、特にインパクトがあったのは一行が逃げる山中、目の前に現れた崖で躊躇する従者の堀田正敏のシーン。画面には彼の足元が崖なのだろうということくらいのところしか最初は映っていないのですが、後ろから蹴飛ばされ彼が飛び込むとカメラは引くのに水面が見えない。落ちていく彼らをカメラは捉えながら引き続け、ついに水面が見えた頃には崖の高さが30メートルはあるのではないかと思えるほどの高さになっていました。この見せ方はとてもすきですし、また躊躇無く飛び込む浪人のプロを思わせる設定も良いです。こんなふうに中盤までは追っ手に対してひたすら逃げ回る、追われる危機感を表現した受身のアクションでした。

 後半、ついに追い込まれた山中で幕府の大軍の山狩りに進退を迷った一行。弱気が蔓延する彼らに対して幼い竹千代が父親と対決するために江戸へ向かうことを決意するところから映画は攻めのノンストップアクションとして突き進んでいきます。馬を奪ってひたすら江戸まで駆けていく一団。後ろからも前からも迫る敵。最初に敵の攻撃にさらされ、馬から落ちたのが織田裕二。彼は爆薬のプロという設定だから迫る敵に爆薬で対抗。最後は敵に取り囲まれて何度も身体を串刺しにされながら敵を引きつけ自爆します。ここなど爆発があまりに近すぎて爆煙に人が巻き込まれ、思わず心配になるほど。その後も前を走る竹千代達を助けるために最後尾の浪人が敵を足止めしていくという構図が繰り返されます。胡堅強は囲む敵を変幻自在の縄標や三節棍で見事に倒していきますし、他の浪人も橋を爆破し「ワイルドバンチ」(69年/アメリカ)さながらに敵の追手を人馬もろとも落としてしまいます。そうしながらひとりまたひとりと力尽きていくのです。

 最後は道をふさがれた宿場町での最終決戦。「十三人の刺客」(63年/10年)を彷彿とさせる舞台設定で行われる緒方拳VS千葉真一の戦いは見ごたえ十分。ひらけた場所での綺麗な殺陣ではなく、古屋の中と外で行われる埃まみれの決闘。戸や壁が崩れ、床がはじけ、屋根が抜ける。鍋もざるも投げつける。深作欣二監督の「必殺4 恨みはらします」(87年)の千葉真一VS蟹江敬三を思い出させるそんな土臭いアクションがリアルな迫力を醸し出していたと思います。

 最後には脱出のため周囲に火をかけ、飛び出してくる一団。長門祐之が自分の身体に火をつける。ここがこの映画の肝いりの場面である人馬火だるまのシーン。まわりは阿鼻叫喚のパニック状態。そのなかを駆け抜ける竹千代と供二人、そして行部。しかし行部が撃たれて落馬。引き返して手を差し伸べる竹千代。しかしその手は握らずかわりに自分のつけていた鉢巻を投げ渡す。叫ぶ行部「走れ、ただまっすぐに走れ!」走り去る竹千代を確認すると振り返り、迫る敵に自ら突っ込んでいく。十重二十重に囲む敵。刑部は怒りの形相で周りを睨みつけ何事か叫ぶ。その瞬間画面が停止し、銃声だけが響く。あきらかに「明日に向かって撃て」(69年/アメリカ)の模倣ですが余韻の残る印象的なシーンでした。

 この映画ではそもそも劇中浪人たちの背景は主人公の行部以外全く語られません。だから彼らがどういう過去をもってどういう風に集ったのかもあきらかにはなりません。映画としての深みがないとか人物描写が希薄とかいわれそうですが自分にとっては関係ないです。ここまでつるべおとし的にアクションまたアクションの連続で110分を超える尺になっている映画です。そういった描写もこの映画ではせっかくのテンポが止まってしまう様に思えますし、自分は逆に潔さの方を感じました。

 確かに不満な部分もたくさんあります。浪人達の描き分けは個々の特徴を含めて平坦であまりうまくいってはいないと思いますし、感情移入しづらい部分も確かにあります。人馬炎上のシーンではせっかくハリウッドから「タワーリング・インフェルノ」(74年/アメリカ)の特殊効果マンまで招いたというのに、馬上のスタントマンが明らかに下手なマスクをかぶっているのが分かってちょっと興ざめですし、いくつかある合成カット、とくに渓谷にロープを張って渡るシーンの合成カットはあまりに酷いです。当時観ていたバラエティ番組でさえもっとまともな合成をしていたのに。ただ、この合成カットに関してはそのあまりの低レベルさにわざとやっているのではないかと逆に疑ってしまいました。好意的に解釈すれば合成では無いシーンは全て本物のアクションだと観客にはっきり分かるのですから。あとはラストの江戸城の件ですが、これはやっぱり蛇足に思えます。せっかくものすごくハイテンションで一気にみせてきた映画なのに、だらだらとした後日談はちょっと…。映画を観ながら自分では勝手にこんなラストを想像していたのです。江戸城の門をぼろぼろの姿でくぐる竹千代に騒然としながら臣下たちは道をあける。報告をうけて天守閣から下を見下ろす家光の怒りの形相。その視線に気づいた竹千代は決意を伺わせる大人になった表情で家光をにらみ返す。そしてエンドクレジット。だから実際にスクリーンに向かって”ちがうんだけど”なんて身の程知らずに呟いていたのを思い出します。

 でもそれらを差し引いてもこの映画は自分にとっては本当のアクション映画でした。CG全盛の今、自分の印象では「ミッション・インポッシブル」(96年/アメリカ)あたりから映画の中のアクションはコミック的、アニメ的な構図や動きが目立ってきたように感じます。でもそれは実際の俳優がコミック的な動きをするというよりも、コミックの絵の部分を実際の俳優に当てはめているような印象が強く、人間のアクションという風に見えない事が多いのです。ですから、本作のような生身のアクション映画は自分にとって一層存在感のある映画になっています。

 最後ですがこの映画はなんだかんだいっても竹千代の映画だったんだなと思います。この一人の非凡な境遇をもった少年の成長物語。幼少期の冒険というのは普通でも大きく心に残るであろう大事件。まして彼のは生死を賭けた大冒険。その中で、僅かながら心を触れ合わせたものたちが死んでいくのです。そしてもっとも心を開いた石河行部もまた…。「余が生き残れば我らの勝ちか?」そんな竹千代の言葉に優しく頷いた行部。彼のため、そして自分を守るために死んでいった全ての者達のために、彼はどんなことがあっても頑張って生きていくでしょう。そしてこの映画で描かれた世界の中の家綱は、きっと他人の命の大切さも分かるそんな名君になったんだろうと思っています。

 

 次回は千葉真一作品を振り返るのはひとまず最後ということにして、彼の主演作にて今回の映画と同じアクション監督を最初に務めた角川映画「戦国自衛隊」(79年)について書きたいと思います。

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