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タイトルバック 「911」を予見? しかし現実は映画をも凌ぎ… タイトルバック
タイトルバック 「マーショル・ロー」 タイトルバック
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タイトルバック 2011.06.04 タイトルバック
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 1980年代から続出するようになっていったアメリカを標的としたテロ。ベイルートの大使館が爆破されるなど当初は海外のアメリカの施設などが襲撃されていたものが、93年にニューヨークの世界貿易センタービルでの爆破事件からは、170人近くの死者を出した95年のオクラホマの連邦ビル爆破など、アメリカ国内でのテロ活動も活発化してきました。そんな次第にエスカレートする現実からか、1998年公開の「マーシャル・ロー」は”将来的には更に大規模で象徴的なテロが起こり得る”そんな危機感を感じた人達の総意が創ったような映画でした。

 ニューヨークのブロンクスで爆弾を持った犯人によるバスジャックが発生。現場に向かったFBIテロ対策本部の責任者、デンゼル・ワシントン演じるハバードの目の前でバスは乗員乗客もろとも爆破される。FBIの必死の捜査から犯行グループの一人であるテロリストとその男と関係を持つブルックリン大教授サミールという男が浮かび上がる。そしてそのFBIの動向に目を光らせるCIAのエリース。FBIはついに犯行グループのアジトを発見、急襲し全員を射殺するが、その直後ブロードウエイの劇場が爆破され、その後にはFBI本部ビルまでもが爆破、多くの死者を出す。エスカレートする犯行に犯人と目されるアラブ系に対しての人種摩擦が激増。都市機能さえ麻痺してしまうそんな状況からついに大統領はニューヨークに対して戒厳令(マーシャル・ロー)を発令する。ニューヨークに列を成して進軍する軍隊。その軍を率いるデブロー将軍(ブルース・ウィリス)だが、彼こそがこの事態の原因をつくった男であり、テロリストの指導者を拉致していた…。

 もしニューヨークで大規模なテロが起こったら? そんなシュミレーション的な要素も含め、アメリカ対テロをリアリズムをもって描いたこの映画。当時、デンゼル・ワシントンとブルース・ウィリスの2大スター競演や、本当にニューヨークの中心を封鎖して映画を撮影するなど話題になっていました。随分楽しみに公開を待っていたのですが、何故だか日本での公開は延期されたうえその後の公開時に見逃してしまったため、中身を知らないまま発売日のDVDを購入して観た記憶があります。

 映画を観たときの当時の率直な感想は、依然書いた「機動警察パトレーバー2the Movie」のハリウッド版でした。それほどまでにストーリーラインは似ていたと思います。「マーシャル・ロー」のニューヨークと「パトレーバー2」の東京、どちらも国を象徴する大都市を舞台に、主人公のFBI(警察官)が、突然起こった爆弾テロ(バスジャック/ベイブリッジ爆破)に対して対抗するも解決できず、さらなるテロの引き金を引く連鎖を生み、ついには都市機能の危機的な状況を招く。さまざまな組織の思惑もあり、都市警護を目的についに軍(自衛隊)が治安出動する。このような様々な共通点をもち、大規模なテロによる状況をリアリティを尊重しながら映画としてシュミレートしたような内容。エリースがいった”テロリストの目的はこの国を混乱させることでは?”という考えは、そのまま柘植の”東京に戦争状態を作り出す”という目的を思い出します。

 この映画の面白さは、やはりそのパトレーバー2でにも感じた肌に来る現実感であり、アメリカという国と実写映画ということがそのリアリティをより一層感じさせてくれたことです。特にパトレーバー2の公開後に加速度的に増した前述のような多くのテロ事件がさらに信憑性を増します。だからこそ劇中描かれる軍隊がニューヨークに進駐するシーンでの市民たちの戸惑いは、アメリカ人なら戦争や軍隊に耐性があるだろうと思っていた自分にとっては意外に思えながらもそれを事実だろうと認識でき、テロによる被害者達の惨状に痛烈な痛みを感じることも出来るのだと思うのです。特に、アラブ系住民が競技場の中に集められ不当な扱いを受けるシーンはあまりに”あり得る”画でした。

 そんなこの映画が一番注目を浴びたのが、映画公開時ではなく、数年後の”911”アメリカ同時多発テロが起きた後でした。それは映画の内容が現実に起こった911を彷彿とさせるようなものだったからです。自分もテロの後それを何かで聞いて改めて見直しましたが、なるほど確かに似ている、そう思いました。場所はアメリカ本土のしかもニューヨーク、乗っ取り犯による乗員乗客を巻き込む自爆テロ、アメリカを象徴する施設への度重なる攻撃、犯行グループがイスラム原理主義の人間など。特に劇中出てくるリーダーのマーメッド・タラルという僧侶の顔はビン・ラディンに良く似ています。

 怖いくらいの現実との符合。しかし、さらに驚くのが逆に映画と現実の差異のほうです。映画で起こるのは乗員乗客を人質にしてのバスジャックに対して現実は飛行中の旅客機に対するハイジャック。街中でのバスの爆破は周囲にも被害を及ぼしますが、現実の世界貿易センタービル崩落の比ではありません。他に狙われた施設、国体を守る事を象徴するような機関は、FBIではなく、こともあろうに軍の中枢ペンタゴンであり、更に狙われたのは、未遂のため目的地は不明なるもそれはブロードウェイのような文化の象徴ではなく、直接ワシントンに乗り込み、ホワイトハウスか国会議事堂というまさに国政の中心を狙っていたのです。それら現実のテロリストが起こした事件達は、シチュエーション的にもビジュアル的にも本作の映画よりはるかに映画的でした。この映画が信条とするリアリティを貫くならば決して考えない状況と映像。それははっきりいってあまりに現実離れしていて…。今の現実があらゆる意味で今までの現実の枠からはみ出していることを痛感させられたのを覚えています。リアルという言葉の意味さえわからなくなるほどに。

 この映画のラストで、CIAに協力的だったサミールが実はテロの実行者だとわかリます。CIAのエリースは騙されていたことに気づくのです。彼の目的は指導者の奪還であり、アメリカへの復讐でした。かつてフセインの敵だった彼らにCIAは資金を与え、戦うための技術を教えた。しかしアメリカは政策を転換、自分達の都合で支援を打ち切った。サミールらテロリストはそのアメリカから受けた資金と技術を駆使して裏切ったアメリカに対して報復していたのです。アメリカは分かっていたのでしょう。何故、彼らがアメリカを攻撃するのかを。そしてそれらもまた映画の中だけではない現実でした。それは映画の中であっさりと告白されるほどに自明の理でもあったのです。

 事件から10年、先ごろビン・ラディンの殺害のニュースが世界中に流れました。国際法を無視し勝手に他国へ侵入しての拘束ではなく殺害行為。世界の警察を自負するアメリカがここまでやるのかとの驚きとともに、劇中で指導者マーメッドを拉致したまま生かしていたデブロー将軍を考えると、またしても現実世界が映画以上に映画的であったことを再認識させられてしまいました。

 

 映画で描かれたことが現実になる。映画人たちの世界に対する認識力の正しさなのか、ただの偶然なのかは分かりませんが、そういった映画はいくつかあると思います。次回は自分の知っているそんな映画の1本「宇宙からの脱出」(69年/アメリカ)について書きたいと思います。

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