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タイトルバック アクションも充実のオカルト時代劇 タイトルバック
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タイトルバック 「魔界転生」 タイトルバック
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タイトルバック 2011.04.23 タイトルバック
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 そしてもうひとつが当時沢田研二の主演でも話題になった「魔界転生」です。幕府のキリシタン弾圧から始まった島原の乱で一揆勢は皆殺しとなり、大将の天草四郎時貞も打ち首により首をさらされました。しかし、雷鳴とともに復活した四郎はそれまで信じていた神を捨て、魔界と通じることで幕府への復讐を誓います。彼は魔界転生の術により、現世に対して強烈な恨みや未練を残して死んでいった人間達を

甦らせるのです。夫に裏切られ死んでいった細川ガラシャ。柳生親子と一度として勝負できなかったことを悔やみながら年老いて死んでいく宮本武蔵。色欲を押さえ切れなくなり自害した宝蔵院胤栄。自らも含め一族全員甲賀衆に殺された霧丸。後に柳生但馬守宗矩をも仲間に取り込み、自らも一揆衆を率い、幕府へ復讐を開始する。これに立ち向かうのが彼らの野望を知った柳生十兵衛でした。 

 開巻早々、地獄かと見紛うばかりの島原の地にさらされるおびただしい数の生首。甦った天草四郎時貞が愛でるような仕草で生首たちに語りかけるシーンの禍々しさ。能のような所作で死んだ一揆衆の恨みを晴らすことを誓う沢田研二の妖しさ。佳那晃子演じる細川ガラシャの艶姿はあまりに妖艶だし、緒方拳演じる宮本武蔵の登場場面もいきなり甲冑を着て鎮座していて、生前からすでに魑魅魍魎の類い。(面具の奥で動く目と口が何か怖い…。)真田広之の霧丸の快活さはしょうがないにしても、宝蔵院胤栄役の室田日出男が甲賀衆のくの一を襲う怖さは襲われた彼女の表情がしっかり表しているし、若山富三郎が演じた柳生但馬守宗矩に到っては白髪で顔面蒼白。死に化粧をした死人とも思える顔立ちで極彩色の天草四郎時貞とは対照的に描かれ、生というものを記号的に消しているようにも思えます。とにかく映画全編、特に前半はこれでもかというくらいおどろおどろしい雰囲気を漂わせているのです。この雰囲気を断ち切るのが千葉真一演じる柳生十兵衛であり、前半はこの怪しい雰囲気に振り回され受身にならざるを得ないように見える十兵衛が、後半日の光を浴びながらの活躍でアクション映画として成り立っていくのです。

 こんなちょっと普通じゃない時代劇ですが、公開当時は話題だけは知っていても観にはいきませんでした。ですから最初に観たのは多分TV放送だと思うのですが、そのときの印象はあまり良く無かったと思います。登場人物は復活してもそれぞれ目的があり、勝手気ままに動いているようにも思えましたし、江戸幕府の打倒という目的とは関係の無いような気がしたのです。天草四郎の人選にしても目的があるのか、それとも行き当たりばったりなのかもよく分からず、ただ歴史的有名人を出しているだけのようで何か散文的な印象しかありませんでした。

 しかし、しばらく後に改めてビデオで見直したとき、その印象は全く変わってしまいました。よく出来ている。本当に良く出来ているのです。天草四郎が集めた彼ら5人は本人に自覚があるかないかは別にして、江戸幕府を崩壊させるという目的の下、彼らの特性を踏まえながらそれぞれに役割をしっかり与えられていたのです。

 まず、細川ガラシャはおもとという女になりかわり、徳川家綱の前に現れます。その女の部分で家綱を篭絡し、大奥へ入り、家綱にとって無くてはならない存在になります。胤栄は霧丸が仲間になる状況もつくりますが、その後、まだ柳生但馬守が生きていたとき、自らを捨ておもとを殺し将軍を救おうとしたとき、その但馬守と決闘し一撃でやられるのです。しかし、その直前まで天草四郎に悔いなどないと断言していた但馬守にそのとき未練が生まれます。”胤栄を一撃で倒したのだから自分の技量はまだ健在だ。とすれば息子十兵衛と戦いたい。”胤栄は殺される事で但馬守を仲間に引き入れることができたのです。霧丸もまた、仇である甲賀の組頭を殺すのですが、それにより彼に命令を出していた松平伊豆守信綱を天草四郎が殺す機会が生まれます。伊豆守は島原の乱で自分達を殺した幕府軍の総大将で直接の仇でした。宮本武蔵は柳生親子と戦うのが唯一の目的でしたが、天草四郎にとっても最大の邪魔者は柳生十兵衛なわけです。ですから武蔵の役割は十兵衛を倒すことです。結果的に武蔵が十兵衛に破れてしまうのは誤算だったのかもしれませんが。天草四郎自らは農民の収穫物に呪いをかけ、凶作にすることで一揆を起こさせ、江戸へ進軍し幕府を外から攻めます。また但馬守もいまだ幕閣として健在で細川ガラシャとともに家綱を操り、幕府中枢を混乱させ、その時がきたら裏切り、内から崩していくのです。そして細川ガラシャもまた最後に家綱を炎の中へいざないます。武蔵を倒した十兵衛と対峙するのは但馬守。これは武蔵が破れたときの保険だったのかもしれません。

 このようにそれぞれ自分の目的に執着するだけの悪鬼の集団のようでありながら、実はそれぞれの行動はひとつの手段として積み重ねられ幕府への復讐という目的へ全てが集約されていくという、良く出来た犯罪サスペンスのような印象を持ってしまったわけです。彼らを集めた天草四郎時貞にしてもどこまで故意にやっていたのかはわかりませんが、もしかするとこれが人智の及ばない魔界の力のなせる業なのかもしれません。ただ残念なのはこの部分のロジッックで固めたような展開が映画のオカルト的なイメージにそぐわないのか、結局印象はまとまりを欠いたままだったことです。

 そんなこの映画でもその見せ場はやはりアクションでありチャンバラシーン。監督の深作欣二は「柳生一族の陰謀」では消化不良になるほど殺陣の場面を入れていませんでしたが、今回はそんなことはなく、しっかり見せてくれます。原作者の山田風太郎が”時代劇のオールスター戦をやりたかった”といったように、その戦いは十兵衛VS武蔵や十兵衛VS但馬守などまさにドリームマッチ。海岸での武蔵との決闘は巌流島を彷彿とさせいかにも武蔵という感じですし、但馬守というか若山富三郎の殺陣の疾さは凄いの一言。終盤燃え盛る江戸城の中、十兵衛と相対するまでには邪魔とばかりに周りの武士十数人をあっという間に切り伏せてしまいます。そしてはじまる十兵衛との戦いに雰囲気は最高潮。一面はまさに火の海。CGなどでは絶対に真似できないだろう圧力すら感じる本物の炎は業火と呼ぶにふさわしいほどの大迫力で、ちりちりと髪や肌を焼く音と匂いが画面から伝わるほどに炎が肉薄するなか縦横無尽に剣を交える両者の凄まじさ。しかも同じ炎の舞台の上に最後の敵として沢田研二も上がるのだから、これは本当に凄い。ラスト、十兵衛に切り落とされた自分の首を小脇に抱え、高笑いしながら炎の中に消えていく天草四郎時貞のインパクトはあまりに強烈でした。

 最後に2003年に公開されたリメイク版「魔界転生」について少し。この映画、窪塚洋介が天草四郎時貞を演じたことで当時話題になりましたが、1本の映画としてもバランスが取れていて良く出来ていた印象があります。前作とは違うスタンスから創られているように思え、ストーリーも分かりやすく、天草四郎も影の存在に徹して権力者を後ろから操ることで幕府転覆を目指します。要所の対決シーンもある程度必然性をもって描かれますし、クライマックスの十兵衛VS天草四郎も光の雨の中、華麗に描かれます。全体的にはスマートな印象で、今風(当時の)の時代劇という感じがしました。では面白かったのかというと答えは”?”。正直なにか特別思い入れる場面や台詞、アクションなどが思い浮かばないのです。ストーリーも同様です。確かに普通に映画にすればこういう感じなのかなとは思いますし、なにより正統派の雰囲気があります。これを観ると前作が相当いびつな映画であることに気がついてしまうのですが、その分前作には圧倒的なパワーがあったことにも同時に思い当たるのです。自分にとっても20年以上も刷り込まれていた記憶としてのアドバンテージはいかんともしがたく、少し残念に思った記憶があります。

 千葉真一は俳優として出演するだけではなく、アクション監督として担当した映画も何本もありました。次回はその千葉真一入魂のアクションシーンが満載の時代劇映画「激突 将軍家光の乱心」について書きたいと思います。

 

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●SCENE-021「魔界転生」

●SCENE-022「激突 将軍家光の乱心」

●SCENE-023「戦国自衛隊

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