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タイトルバック あの日何が起っていたのかをドキュメンタリータッチで描く タイトルバック
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 2001年9月11日、相変わらずのエンドレス残業の最中、先に帰宅していた上司からテレビをつけろと突然の電話。「なにを能天気な…」そう思いながらもつけたテレビに映し出されたのは、今まさに旅客機がビルに突っ込んでいく映像でした。状況も何もわからないまま、ただ”戦争がはじまる”何故かそう思ってしまいました。

 今も鮮明に思い出すことのできる当時の状況。それほどまでにこの日の事件は衝撃的でした。確かに数年前から世界は随分キナ臭くなってはいました。それほどの実感は伴わずとも冷戦が終わったんだと思えていたのも束の間、日本での地下鉄サリン事件、アメリカでも爆破テロが相次ぎ、テロという言葉が映画の中のものだけではなくなっていたそんな頃に起こった決定的な出来事。アメリカ上空を飛ぶ旅客機がハイジャックされ、乗員乗客を乗せたままアメリカを象徴する施設に突っ込んでいく。しかも同時に4機も。明らかにアメリカという国に対しての戦闘行為。バリバリの中枢都市を攻撃されたことなどなかったアメリカにとってはまさに驚天動地の出来事。しかし、私たちはその事件以上にこれからすぐに至る未来をこそ危惧したはずです。激高したアメリカを恐れたのはテロ組織だけではないのです。必ずその余波は世界を巻き込むに決まっていたのですから。

 そんなアメリカのみならず世界を揺るがした大事件をハリウッドが放っておくわけがありません。多分事件が起こったときから不謹慎にも映画化を考えた関係者は五人や十人ではなかったはずです。しかし、現実の世界でのそのあまりの生々しさにやはり二の足を踏んでいた彼等。誰もが躊躇したその映画化が実現したのは、事件から5年後の2006年でした。今回書く「ユナイテッド93」は、事件後初めてアメリカ同時多発テロを描いた最初の映画になりました。

 テロリストが決意を胸に向かったニューアーク空港から始まるこの映画。待合室にはこれから起こることを知らない多くの乗客達の姿。彼らを乗せるユナイテッド93便が離陸準備を進めるほぼ同時刻、連邦航空司令センターにハイジャックされたらしい機体があるとの一報が入る。連絡がつかない旅客機アメリカン11便。ハイジャックが否か。無線の背後から一瞬聞こえた声を分析した結果浮かび上がった”プレインズ”という言葉。複数のハイジャックを思わせるこの言葉に色めき立つ関係者達。概要は北東地区防空司令センターへも伝えられ、軍もまた情報の収拾に躍起になる。本当にハイジャックされたのか? 他にもハイジャックされた機体はあるのか? あるとすればどの機体なのか? 何機なのか? 目的は? 不明確な情報ばかりが錯綜し、混乱する管制センター。しかしそんな状況下、何も知らないユナイテッド93便は乗客と一緒にテロリストをも乗せて飛び立ってしまう。その直後、通信が途絶していたアメリカン11便が管制官の注視するレーダーから消滅する。軍が戦闘機に対してスクランブルをかけたその時、ニューアークの管制官が世界貿易センタービルから立ち昇る煙を目撃する。何が起こったのか? 混乱に拍車がかかり、連絡のつかない機体も続出する。その中の一機、レーダー上のユナイテッド175便もニューヨークへ転進する航跡を残し、またしてもレーダーから消えてしまうのだ。そして次にそのユナイテッド175便が目の前に現れたときは、それと思しき機体の影が煙に霞む世界貿易センタービルに向かっていくときだった…。

 その日、ほぼ同時にハイジャックされた4機の旅客機。それぞれ世界貿易センタービル、ペンタゴンと目標に激突していくなか、唯一目標に到達せずにペンシルベニア州郊外に墜落したユナイテッド93便。このユナイテッド93便の機内で何が起こっていたかを描いたのがこの映画なのですが、こうあらすじを書いてみて改めて思うのですが、この映画がユナイテッド93便だけに視点をおいた物語ではないということです。劇場で見る前に持っていた自分のイメージとは随分違う。正直この手の作品は、当事者である人達の中から特に運命を感じるような状況を持つ人達をピックアップして、その何組かの人達を中心に彼らの背景をドラマチックに描きながらやがてユナイテッド93便に集約されていく、そんな映画を想像していたのです。しかし公開された映画は、タイトルこそ「ユナイテッド93」でありますが、そのユナイテッド93便を窓口にして僅か5時間に満たないながらアメリカが揺らいだその運命の日を当事者達の証言に基づいて時系列で描いていったいわばセミドキュメンタリー映画といえるものでした。

 そんなこの映画で目を見張るのがその圧倒的リアリティ。キャスト陣は有名な俳優を一切使わず、乗客一人一人に対してそのプロフィールが反映されたキャスティングが行われ、それぞれの遺族に対しても連絡をとり続けるという念の入れよう。機長や乗務員役にも皆実務経験者が集められ、当日の重要な任務を担ったハーンドン連邦航空管制センターの責任者スライニーにおいては本人が演じるなど徹底的でした。

 一方彼らをもって描かれたドラマは特定の主役を立てず、その時最も進行する状況を把握できた存在であった航空機の各管制センターの職員達を媒体にして、その時どういった風に状況が推移していったのか、これから起こることをどこまで予測できたのか、それに対して彼らはどう行動したのかを描いていました。しかし彼らは事件の当事者でもありながら傍観者でしかないのも事実でした。ハイジャックされた飛行機に乗っている方々を別にすれは、彼らは最も事件を近くで見ていた存在であり、さらに事件を鳥瞰できる位置にいながら、その事件を防ぐようなことは最初から何もできなかったのですから。

 映画はそういった彼らの混乱した状況やもどかしさを、旅客機がペンタゴンにまで激突したことを知るシーンまでに描きながら、ラスト30分で舞台をこの映画のメインの存在であるユナイテッド93便に移行します。その中で描かれた混乱の様子。テロリストと乗客達の間で何が起こったのか全ては想像でしかないはずですが、ドキュメンタリー的な表現の流れと相まって、これが真実とばかりにリアルな描写で描かれていくのです。

 そんなリアリティを支えるのが彼らを映すカメラの視点。その視点は遠方からの神の視点ではなく、まさにその現場からの視点でした。常に小刻みに揺れ続けるカメラ。まともなFIXの画など無く、またよくある作為的なものも感じない純然たるドキュメンタリーの視点。その視点がいくつもの管制センターや防空センター、そして機内の場面とめまぐるしく切り替わり、映画を見ているこちらは絶え間ない緊張感の中に置かれます。ユナイテッド175便が世界貿易センタービルに激突し、劇中の人物達が皆息をのみ静寂があたりを包む場面では見ているこちらも息苦しささえ感じ、終盤のユナイテッド93便での状況、テロリストが占拠した機内で自分達もどこか目的地へ突っ込むことが分かってしまった時には、観ているこの場はまさにユナイテッド93便の機内であり、自分達も乗客のひとりとして極限の状態の中の緊迫感を強いられるのです。

 しかし、当時映画を観ながら、いかなアメリカであってもやはり未曾有の事態だったのだなということを改めて感じました。それほどまでに彼らの衝撃と混乱ははっきりとスクリーンから伝わってきました。そして同時に感嘆をもしました。それは劇中描かれた人たちの行動力。テロリストに立ち向かったユナイテッド93便の乗客たちはもちろんですが、連邦航空管制センターのスライニーはアメリカ全土を飛ぶ実に4000機以上の飛行機全てにおいて全機着陸を指示、航空路の全面封鎖を一存で指示しますし、北東地区防空司令センターの司令官は、ワシントンへ向かう機体に対してはその撃墜を認めさせます。(副大統領の命令があれば、ですが。このとき当のブッシュ大統領が何をやっていたかは「華氏911」(04年/アメリカ)で描かれていますが)テロリストに反抗した乗客たちは決まったリーダーのもとで行動したわけではありませんが、自分の身を捨て一人一人が考え行動した結果、それはひとつの大きな意思と力となっていました。また後者二人においては、彼らが今いる状況下で何が出来るか、何をするべきかを考え、自分に与えられた権限を最大限に使ってやるべきことを実行します。それが正しいかどうかは分かりませんし、そもそも事件を防ぐ事も不可能な状況ながら、被害を広げないためにその行動を起こすのです。もしかすると彼ら一人一人の責任では到底負うことが出来ないほどの被害が出る可能性を十分持ちながら、今後の自分の人生がその責任を果たす事に終始してしまう事になるかもしれない可能性もありながら、躊躇することなく、です。それは自分にとって尊敬すべき姿でした。

 

 俗に「911」と呼ばれたこのアメリカ同時多発テロが起こったあと、1本の映画が注目を浴びることになりました。その映画で描かれたテロに翻弄されるアメリカの姿が、まさに自分達の今の状況と重なったからでした。というわけで次回は「マーシャル・ロー」(98年/アメリカ)について書きたいと思います。

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