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タイトルバック 安心して楽しめる優良印の爆弾映画 タイトルバック
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タイトルバック 「エグゼクティブ・デジション」 タイトルバック
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タイトルバック 2011.11.18 タイトルバック
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 ”爆弾物”というジャンルがあるかどうかは知りませんが、”犯人が仕掛けた解体が難しい爆弾をメインにそれにまつわる身代金の授受や犯人との攻防を描くサスペンス映画”をそう言って良いなら、そのオリジナル的な要素をもつ映画が前回と前々回に書いた「ジャガーノート」と「新幹線大爆破」の2本だと自分は勝手に思っています。ですから、他の映画はどこかしらにそれらの要素を含んでいると思っているわけです。というわけでこれから何回かこれらから派生したのではないかと思える爆弾物の映画について書いていこうと思います。今回は「エグゼクティブ・デジション」(96年/アメリカ)です。

 ジャンボジェット機343便がハイジャックされた。首謀者であるテロリストのサジは、500万ドル分の金と人質の半分と引き換えにアメリカ政府に拘束されたリーダーの解放を求める。しかし、サジの本当の目的は、飛行機に積んだ大量殺戮兵器である神経ガスDZ5を使っての自爆テロで、目的地はワシントン。政府が対応を迫られる中、テロ対策特殊部隊のトラビィス中佐から、旅客機に部隊を潜入させ、ガスを無力化、機内を制圧するプランが出される。作戦に同行する情報分析官のグラントと技術研究員のケイヒルも部隊に加わり、リモータという新型飛行機により飛行中の343便に潜入を目論むが、作戦は途中で失敗。トラビィス中佐を失い、343便に何とか残ったのは隊員達とグラント、ケイヒルだった。少ない装備で作戦を遂行しようとするグラント達。しかし無線を失った彼らと連絡がつかない政府は、アメリカの被害を防ぐために最終決断を迫られる。

 エグゼクティブ・デジション=最終決断という意味のタイトルは、劇中、アメリカという国を守るために400名の乗客もろとも旅客機を撃墜するかというアメリカ政府の迫られた選択に由来します。なんとも言いづらいタイトルをそのまま邦題にしてしまったものですが、こういう”大の虫を生かすために小の虫を殺す”的なものがストーリーの終盤の鍵になる映画は多いと思います。洋画だけでなく邦画でも、最近なら「亡国のイージス」もそうですし、広い意味ならそれこそ「新幹線大爆破」も同じ物でしょう。ただタイトルになるほどですから、よほどこの部分がメインテーマになる映画なのかといえば、実はそれほどでもないのがいかにもハリウッド映画らしいところ。実際、この映画は昔1度見たきりだった自分の中では、トラビィス役のスティーブン・セガールの扱われ方に驚いたことと、なにか「ジャガーノート」に似ていることなあと思ったことくらいしか覚えておらず、最終決断の要素があったこともその他もろもろ含め忘れていました。というわけで、今回改めて見直してみたのですが、これが結構記憶とイメージに齟齬があることが分かったのです。

 自分が持っていたイメージ。一つ目のスティーブン・セガールについてはまあ合っていました。本作の数年前に「刑事ニコ 法の死角」で鮮烈デビューをした彼。結構大量に宣伝もしていたこの「刑事ニコ」は実際に映画を見るまで自分はA級映画だと思っていましたし、元本物のCIAだとかいわれ、それを裏打ちするような合気道を含めた本物のアクションをみせていた彼は後々色々な意味で化けの皮がはがれていくとはいえ、日本との関係も浅くないことから日本での知名度も抜群で、そんな彼が出演する大作映画として本作を期待した人も多かったはず。しかし、テロ対策特殊部隊の隊長としてイメージそのままの役を見事に演じていたそのセガールが映画の三分の一を待たすして死んでしまうとは思いませんでした。当時ではこの映画のイメージがこれで固まってしまうほどの驚きだったと思います。

 二つ目のイメージ。「ジャガーノート」に似ているという部分に関して言えば、実はそれほど似ていないことが分かりました。実際類似点としては飛行機(船)に乗り込むときに失敗して死ぬ隊員がいることと、様々なトラップをクリアして爆弾を解除していくもののそれまでのものは全てダミーで、本物の起爆装置は全く別のところにあるというところ。青と赤の線もありませんでした。多分観ていてその爆弾の扱いが「ジャガーノート」のイメージとダブっていたためにそれ以外のところまで同じような思い込みをしていたのだと思います。記憶力に問題がある自分としては本当に申し訳ない話ですが、かえってこの映画が実はとてもよく出来た面白い映画だったということを改めて感じました。

 とにかくハリウッド製アクション大作映画を見る時には期待するようなほとんどのものが詰め込まれているこの映画。国を揺るがす大量殺戮兵器をもっているテロリスト。ハイジャックとそれによる大勢の人質の人間模様。彼らと戦う強い特殊部隊。ヒロインは民間人の協力者。ちょっと軟派な主人公と必ずある伏線の台詞。せまるタイムリミット。そしてラストは大スペクタクル。あなた達が観たいのはこんな映画だろうとばかりに最後まで息つく暇なくつぎ込まれた見せ場に程よい緊張感をプラスさせながら一気にみせてくれます。隊員達がリモーラという特殊機で343便に乗り込む時のその描写、飛行中の旅客機に気づかれずに外から乗り込むというその描写にちょっと現実離れしたものを感じますが、これにより隊員達が限られた装備と限られた人員の中で作戦を実行しなければならない状況をつくりだし、映画の中では見せ場のひとつとしてしっかり根付いていました。

 そんなこの映画で一番自分が好きな部分が、潜入した主人公達のチームが完全ではないというところ。トラビィス中佐が率いていたときはあんなにも頼もしく余裕をもって任務を遂行していたチームだったのに。中佐の死により指揮をする者がいなくなり、装備も少なく、爆弾処理の専門家は全く身体を動かせない怪我をしてしまっている。しかもチームのうち二人は現場の考えも行動もできない事務方の人間。しかも、犯行グループの人数は想像以上に多く、本来の目的の制圧も現状ではままならいうえに、爆弾の処理も同時進行しなければならない、と状況は最悪。焦ったり怯えたりと一気に頼りなくなってしまった特殊部隊+2名の急造チームが、ジャンボといっても狭い飛行機の中で敵にその存在を知られること無く、わだかまりを捨て、それぞれの技能を生かし、役割分担して互いの不足分を補いながら任務を遂行しようとする様子の描写は緊迫感に満ちていて、しかもちょっと感動できて本当に面白い。特にグラントやケイヒルの危うさ、ケイヒルが全くの専門外の爆弾処理を進める場面などは爆弾の完成度が高い分さらに興奮度が増します。しかも乗客にまぎれたテロリストの一員が爆弾の起爆装置を持っていることが分かり、それが誰かを特定しなければならず、それを調べるためにハル・ベリー演じる客室乗務員のジェーンに協力を得ようとするも彼女がテロリストから目をつけられるなど、次から次へとピンチの連続が押し寄せるのです。

 タイムリミットが近づく中で無線機を持たない潜入チームが表示灯をつかって外と連絡をとって、撃墜攻撃を遅らせた中でのついに来る最後の突入。時間内に状況を終了させなければ機内にいる全員が死んでしまう制限下での決死の作戦は、やはりわかっていても盛り上がります。そしてここからはやはりハリウッド製。テロリストの乱射で機体に穴があき、パイロットも殺され、グラントが操縦桿を握る。冒頭、グラントが飛行機の操縦実習を受けている場面の伏線にしっかりつながって(そうだろうなとは思いましたけれど)、着陸できるかというスリルを結末に持っていきます。

 この「エグゼクティブ・デジション」をあえて「ジャガーノート」と比べると、爆弾の設定はともかく緊迫感を感じる状況やポイントは「ジャガーノート」より多く、映画的な面白さ、興奮度も高いと思います。ただ、緊張感の強さというものを考えると、あの胃が痛くなるような緊張感と呼吸も乱れるような圧迫感ははるかに「ジャガーノート」が上でした。それは贅肉が殺ぎ落とされた無駄の無い鋭い感覚が一本つらいぬいているようなイメージです。でも、「エグゼクティブ・デジション」はそれとは違い、最初からサービス精神旺盛に色々な部分で見せ場を作りとにかく楽しませようという感じ。そのためそれぞれの見せ場の重たさも分散しがちではあったのですが、だからこそ爆弾のシーンも最終決断のシーンもしつこいほどには緊張感を強いることは無く、ある意味余裕をもって観られる映画になっていました。ラストも爆弾解体の後、静かに終わる「ジャガーノート」に対して、最後に派手な見せ場をもってくるのは、やはりハリウッド製アクション大作映画という感じでした。

 今思うと、飛行機をハイジャックして乗客もろとも自爆テロを目論む、というストーリーは後の911テロを彷彿とさせ、安穏とした現実が壊れていく前の予兆のようにも感じます。昔の映画では敵のテロリストは政治的な動機で犯行を行っていることが多かったのですが、「ダイハード」以降、思想的な動機と思わせておきながら実は金が目的というある意味でのリアルな目的での敵が目立つようになりました。冷戦の終結や、ソ連の崩壊など国際的な情勢が大きく変わり、明確な思想がぼやけてしまった時期でもあったからかもしれません。しかし、この頃から脅威となっていったイスラム系のテロリストが世界につけた傷跡に、映画もまた如実に反応していったのか、本作のような動機のテロリストが登場するようになってきたのです。しかし、この映画はそれでもやはりエンターテイメントでした。どんなに現実に近い情勢や動機をつけても、まだ映画の中のフィクションとしてそれらを楽しめる余裕が自分を含めた見ている観客達にはあったのです。そしてそれはアメリカという国も同じでした。彼らも多分持っていたのでしょう。どんなことがあっても、このアメリカという世界に冠たる大国がテロごときに揺るがされることはないという自信を。そして最後には何事もなかったかのように今までと同じ世界が続いていくと。ラストでグラントがジェーンをお茶に誘うハッピーエンドで映画が終わったように。

 

 次回もやはり爆弾物の映画です。日本でも大ヒットしてキアヌ・リーブスを世界的スターに押し上げた作品ながら、自分としては何かと思うところのあったアクション映画「スピード」について書きたいと思います。

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ぬいぐるみと少女

●SCENE-041「新幹線大爆破」

●SCENE-042「ジャガー・ノート」

●SCENE-043「エグゼクティブ・デジション」

●SCENE-044「スピード」

●SCENE-045「交渉人 真下正義」

●SCENE-046「名探偵コナン 時計じかけの摩天楼」

●SCENE-047
「名探偵コナン 揺れる警視庁 1200万人人の人質」

●SCENE-048「セルピコ」

●SCENE-049「フレンチコネクション」

●SCENE-050「LA大捜査線 狼たちの街」

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