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タイトルバック 今や恒例、コナン映画のシリーズ最高作はやっぱり第1作。 タイトルバック
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タイトルバック 「名探偵コナン 時計じかけの摩天楼」 タイトルバック
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タイトルバック 2012.01.16 タイトルバック
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 世の中にあるたくさんのすごいなーと思える事のひとつが漫画「名探偵コナン」の連載だと自分は勝手に思っています。1994年に週刊少年サンデーで連載がはじまってからすでに17年。よくもこれだけ厖大な量のトリックやアイディアをほとんど毎週欠かさずに創造し続けることができるものだと本当に関心します。同じように週刊誌に連載され大ヒットした「金田一少年の事件簿」が、ひとつの事件にまつわるいくつかのトリックとアイディアで何ヶ月もひっぱっていたのとは違い、「名探偵コナン」ではもっと続けることができるのにと逆に心配するくらいあっさりと事件を終わらせ、新しいエピソードを重ねていきます。

きちんと数えたことはないですが、エピソードの数ならおそらく金田一耕助や浅見光彦などよりはるかに多いでしょう。もしかしたら世界一かも? そんなコナンはアニメ化されてもすでに15年経ち、アニメ化の翌年に公開された劇場版もいまだに作られ続け、年一回の恒例作品となっています。今年で15作目となったこの劇場版、全体的にも質の高い作品が多い中で、今回は最も優れていると思う作品について書きたいと思います。それがシリーズ第1作「名探偵コナン 時計じかけの摩天楼」(96年)です。

 巷で連続放火事件が騒がれはじめたころ、大学教授であり高名な建築家でもある森谷帝二からパーティの招待状が工藤新一宛に届く。参加できない新一からの依頼で、5月3日の夜に映画に付き合うことを条件に蘭は新一のかわりに毛利小五郎とコナンを連れ立って出席する。そして5月3日、新一のもとに突然謎の人物から爆破を予告する電話。少年探偵団が遊ぶラジコンに仕掛けられた爆弾だったが寸でのところでそれを避けるも、すぐに今度は駅に爆弾を仕掛けたと電話がかかってくる。爆破予告時間が迫る中、犯人のヒントを頼りに隠された爆弾を発見、決死の行動で被害を防ぐが今度はコナンも負傷してしまう。しかし、更に爆弾犯からは次なる爆破予告の電話が。何故か工藤新一が事件の矢面に立たないことにイラつく犯人が次に予告した爆弾の場所は東都環状線の電車だった。それまで以上に人命の危険が迫るなか、事件解決に奔走する警察と毛利探偵、そしてコナン。しかしそれを知らない蘭は、約束どおり待ち合わせの映画舘へ向かう。5月4日の新一の誕生日を祝うために…。

 こんなストーリーで進んでいくこの映画ですが、当時は最初全然観るつもりはありませんでした。漫画もTVアニメも好きでしたが、オリジナルストーリーで展開される物語にまるでお子様ランチのような映画を想像してしまい、不安というか、全く期待できなかったのです。

 つまりこんなことです。人気アニメの劇場版である以上お祭り的な要素が大きいですから、アニメに出ているレギュラーキャラクターは基本的に皆出てくるのがこの手の映画の常です。しかもジャンルが推理ですから、それ以外に犯人が必ず出てきます。しかも犯人一人だけでは話にならないので、ミスリード役もふくめて複数のゲストキャラが必要でしょう。必然的に登場人数はかなりの数にのぼりますが、逆にその限られた時間により人物描写は浅くなります。また、元がTVシリーズの劇場版は何故か映画というだけで派手な画を見せようとするのもありがちです。実際当時のTVスポットではビルが爆破され崩落していくシーンが流れていました。確かにコナンは他の探偵よりはアクション性が強いとはいえ、巨大なビル爆破とは結びつかず、納得できる必然性も想像できなかったのです。つまり、種類は多いがひとつひとつが少量の食べ物とそれを飾る装飾やおまけなど見た目の派手なサービス、でお子様ランチのイメージです。まあ、基本どちらも子供向けですし。しかし、映画公開から数ヵ月後、レンタルビデオ店に並んでいるのを話の種にとやっぱり借りて観てしまった自分。期待度ゼロで見たビデオの中で展開されたそのストーリーは、しかしオトナ的な下卑た考えなど一蹴させるほどに素晴らしい映画だったのです。

 完全に脱帽だったこの映画のストーリーの良かったところは、とにかく爆弾犯とのサスペンスに特化させてしまったこと。本来推理であるはずのコナンなのに、この映画には犯人探しの要素がほとんどありません。推理という展開を気持ちいいくらいにばっさりと切り捨てたため、この映画に登場するゲストキャラは非常に少なく、容疑者としての可能性のある人間は強いてあげても三人ほど。内一人は元市長の息子で、市長である父親が起こした人身交通事故の身代わりとなるも、コナンになる前の工藤新一にその真相を暴かれ、市長は免職、進めていた都市開発プロジェクトも頓挫したための恨みによるものと推理されますが、すぐにアリバイが確認されたため、回想シーンにのみ出てくるだけで実際に登場することさえありません。ひとりは白鳥警部ですが一応警察官ですし、多少思わせぶりのシーンがあるものの、とりたてて怪しくはありません。とすると、その可能性がある人物は残った森谷帝二しかいないのです。(名前がすでに森谷帝二(もりやていじ)教授=モリアーティ教授ですし)最初から犯人の可能性のある人間をほとんど一人しか出さず、人物描写も彼に集中させ、そのかわりほかに割かれる時間をすべて爆弾犯との戦いに費やしていました。

 そんなシンプルな人物設定で進行するストーリーは、その構造自体もとてもシンプルです。基本的に”犯人からの予告電話に対してヒントを元に爆弾の被害を防ごうとするコナン”という展開のエピソードを短くまとめ、それを第1ラウンド、第2ラウンドと犯人との対決を重ねながらスケールアップさせていきます。犯人の手口や使用する爆弾の仕組みがそれぞれ違うこともあり、映画の展開を飽きさせずに分かりやすく盛り上げていきました。しかも犯人からは予告の電話はあっても一切の要求はなく、犯人に対峙するコナンは爆弾を無力化するしか当面の事件を収める方法が無いのです。そんな状況で進むストーリーは特にこの後の第3ラウンドの東都環状線のくだりとラストの米花シティビルが爆破されていくクライマックスに集約されながら最高に盛り上がっていくのです。

 この映画はまぎれもなく爆弾で、それゆえ過去のその手の映画との類似点は相当多いです。例えば”爆弾が仕掛けられた現場で犯人が出すクイズに答え、それが爆弾解体のヒントになる”という基本の流れは「ダイハード3」に似ています。ですがなによりも、今まで書いてきたのと同様、あの2作の影響が絶対的でした。

 それがまずは中盤のクライマックス、東都環状線に爆弾が仕掛けられるという展開。この爆弾”午後4時以降走行中の電車が時速60km以下で走行するか、日没になると爆発する”という仕組み。電車はすべて発車させ、駅にも停車できず、乗客を乗せたまま止まれなくなった東都環状線の全ての電車!と、これはどう考えても「新幹線大爆破」。ただ、確かに基本的なアイディアは「新幹線大爆破」からの引用でしょうが、「スピード」が映画のアイディアからストーリー全般までリメイクといってもおかしくないくらい似ているのに対し、こちらが同じなのは爆弾が設定スピード以下で走行すると爆発するという部分と仕掛けたのが電車という部分で、それ以外の部分は意外なほど違っています。

 一番気になったのが日没になると爆発するという部分。これによって本来終点がなく走り続けられるはずの環状線にタイムリミットが設定されて更にサスペンス性を盛り上げますが、実はここが爆弾の仕組みのヒントになっているのです。爆弾は車体に仕掛けられているのではなく線路に仕掛けられていて、光センサーで光が一定時間以上遮断される、つまり上を通過する車両のスピードが遅くて遮光時間が長くなると爆発するというもので、そのため夜になっても爆発してしまうという、実は日没の部分は爆弾の構造上の限界のようなものだったのです。最初からそう考えて作ったのか、それともそういう風にしか作れなかったのかは分かりませんが、少なくとも理にかなった展開。

 車体に爆弾を仕掛けるよりもおそらくは簡単で人目につかず、バスなどには転用できない電車ならではの手口として必然性もあり、しかも一度に走行中の全車両を人質にすることが出来るなど、その本家とは違う新しい展開にいやがおうにも緊迫感を与えてくれます。(しかもこの爆弾の構造が実は後に分かる犯人の目的に明確に合致したものなのです)ですからコナンがそれを見抜き、電車を爆弾のない貨物線に無事避難させた時点では爆弾はひとつとして解体されないままという爆弾の特徴に見合った解決方法になっていて、その後爆弾を捜索する警察官へ指示も”建物の影にならないところを捜せ”だとか”自分の影で爆弾を隠さないように”などと的確で、それもまた必然性とリアルさを感じさせてくれました。

 その後、森谷帝二が犯人であることを見抜いたコナンが、罠をかけて森谷を逮捕します。森谷の動機は自分の過去の失敗作をこの世から消し去ること。連続放火事件も彼の仕業でしたし、東都環状線の爆破未遂も実は車両を爆破するのが目的ではなく、本来の目的は複数の爆弾のうちのひとつが仕掛けられていた自身が設計した陸橋を破壊することが目的でした。橋を破壊するために何千人もの命を犠牲にしようとしたのです。驚きの犯行理由ですが、彼の偏執的な部分は劇中でも描写されていましたし、芸術家とはそんなものかとわりと素直には受け入れられました。また、工藤に対して強烈な敵対心を抱いていることも説明されます。かつて市長が進めた都市開発プロジェクトを設計していたのが森谷で、それが工藤のために頓挫してしまったための逆恨みによる復讐でもあったのです。しかし映画は真相がわかり犯人が逮捕されてからこそクライマックスを迎えます。それは爆弾犯との対決という的を絞ったこの映画のストーリーとしっかり合ったものでしたし、なによりその展開はやはり最後のあの1本の映画からの引用なのです。

 森谷が最後に爆弾を仕掛けた場所は今までで最大の建物である米花シティビルで、しかもその中にある映画舘は蘭との待ち合わせの場所。森谷邸から立ち上る炎を見て駆けつけるコナンですが、先の爆発で映画館のロビーに蘭は閉じ込められ、そこに置かれた最後の爆弾も蘭が見つけてしまう。蘭の元へいけないコナンは携帯で蘭と連絡を取り、そして新一の声で蘭に言うのです。「お前が爆弾を解体するしかない」と。森谷の持っていた爆弾の設計図を頼りに新一が解体方法を指示し、それにつたない手先で従う蘭でしたが…。

 最高に盛り上がるクライマックス。しかし、一抹の不安が…。案の定、解体していって残ったのが赤と青の2本のコードだったのです。これは明らかに「ジャガーノート」。やはり爆弾としてははずせないのか、正直ここでテンションが下がったのは事実です。でもそれは「ジャガーノート」の真似だから、ではなく、これでもうラストは蘭が赤のコードを切ってハッピーエンドになると思ったからです。というのも、劇中の蘭の赤へのこだわりは相当なものでしたから。

 赤は蘭の好きな色で、占いのラッキーカラーも赤、新一も好きだと言っていたから誕生日のプレゼントは赤のポロシャツ、それをタイトルに赤がつく映画を観ている最中に渡す予定だったのです。うれしさからか照れ隠しか、蘭は何人もの人にこのことを言いまくります。劇中で話す人はそれぞれはじめて聞く話なのでしょうが、映画を観ている観客は何度も聞かされ続け、しっかり頭に刷り込まれてしまうのです。ここまで強調するからには当然…。しかもまたしてもオトナ的なヤラシイ話ですが、そもそもヒロインの蘭が爆弾の解体に失敗するという展開はありえないのです。オリジナルの単発映画ならともかく、原作漫画もTVアニメも人気作として連載及び放送中であればヒロインが死ぬ展開など考えるに値せず、本来爆弾が爆発する可能性は50%はあるはずなのに、こんな世の中の常識に照らしてしまうと100%無い話になり、興奮度も一気に下がってしまったのです。 

 ここまで面白かったから良しとしよう、とは初見のこのシーンを見ていたときの素直な気持ちでした。でもこの映画、自分の浅はかな考えなどはるかに超えていました。「ジャガーノート」からアイディアを借用していながら、やはり東都環状線のくだりと同様、安易な真似では終わらせず、きちんとオリジナルの展開を用意していたのです。それが、”赤と青のどちらを切ればよいか、切る前に解ってしまう”という驚きの展開。こんな展開、自分が知る限り今まで観たこの手の作品には無かったものです。いや、先にわかってしまったらダメだろうと観ていない人は思うでしょうが、ここまでの展開から当然蘭は赤を切るだろうと思っていたのに、コナンの推理は”赤を切れば爆発する”ものだったのですから。

 実は蘭が赤にまつわる話をした相手の一人は犯人だったのです。犯人である森谷は蘭と新一の赤へのこだわりと誕生日にどこで何をするのかも知っていたのです。森谷が爆破しようとしていた建物で二人がデートをするのは偶然でしたが、その偶然を利用して、いつ、どこに、どんな爆弾を仕掛けるか、そしておそらくはその状況になれば二人は爆弾を解除しようとし、最後に赤と青の2本のコードが残った場合は絶対に赤を切るだろうと予測しての、100%確信のある完全犯罪だったのです。わざと設計図が新一に渡るようにしたのも、設計図にない2本の線を残したのも新一への恨み。わずかな希望を見せながら信じる二人の想いを最後に砕き散らせようというその手口は彼の憎しみの深さを表したものでした。

 恐ろしいほどに頭が切れながらその頭の良さよりも犯人の偏執性が色濃く出ている犯行ですが、それを推理してしまったコナンも凄い。しかし、このときビルの崩落により二人は連絡が取れなくなってしまい、コナンの推理も蘭には届かなくなったのです。蘭の思いは前と同じで、状況だけが180度変わってしまったこの場面。先ほどまでの100%安心できた状況は、先にどちらを切れば爆発するか解ってしまったがために、一気にどうなるか予測できない展開に! タイムリミットが迫るなか、蘭にはそれまでの様々な出来事が思い浮かび、その中で彼女は1本のコードにハサミを伸ばします。「さようなら、新一」そう心の中で呟く蘭。映画の中の世界は静かに色を無くし、どちらの色か観客も分からない状態で蘭はついに1本のコードを切る! 素晴らしい演出も加わって緊張感は一気に上がりまくるのです。

 ラストをいってしまうと、蘭は爆弾の解除に成功します。爆発はしなかったのです。喜ぶ毛利探偵の横で爆発を確信していたために唖然となる犯人の森谷。この展開、爆発はしないはずだと信じながら、それでも言いようのない緊迫感の中で映画に入り込んでいたために本当に興奮しました。ですが、最後に大きな疑問が浮かびます。蘭は赤ではなく青を切っていたのです。あれだけ執着していた赤を切らずに何故青を切ったのか? その観客の疑問はラストシーンで同じ疑問をもったコナンによって質問されます。「蘭なら絶対赤いコードを選ぶと思っていたのに、何故青いコードを切ったの?」。それに対して答える蘭。「だって…」。ラストシーンのラストカットでの最後の蘭の一言。それはいかにも女子高生の蘭が言いそうな夢心地で少女趣味な一言でありながら、この物語に完璧で素晴らしいオチをつけてくれるのです。

 

 次回でいったんこのジャンルに一区切つけようと思います。最後に書きたい作品も爆弾物ではありますが今までの映画の流れとは少し違った作品です。それは映画ではなく、ドラマでもないのですが。という訳で次回はTVアニメ「名探偵コナンスペシャル 揺れる警視庁 1200万人の人質」について書きたいと思います。

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ぬいぐるみと少女

●SCENE-041「新幹線大爆破」

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