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タイトルバック 刑事アクションというジャンルを確立させた古典。 タイトルバック
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タイトルバック 「フレンチコネクション」 タイトルバック
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タイトルバック 2012.04.14 タイトルバック
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 いまや刑事アクション映画の古典となって久しい映画「フレンチコネクション」。1971年のアカデミー賞で作品賞、監督賞、主演男優賞を含む5部門を獲得したこの作品は、刑事アクションが好きというなら当然観ていなければいけないとの風潮も感じてしまった学生時代に、半ば義務感にも背中を押されて観たことを思い出します。映画的成功の他、ジーン・ハックマンを一躍スター俳優に導いたこの「フレンチ・コネクション」(71年/アメリカ)について今回は書きたいと思います。

 フランスのマルセイユで刑事が殺され、波止場では実業家風の紳士シャルニエが大きな仕事の手伝いを有名タレントのデブロへ依頼。そのころニューヨーク、ブルックリンでは麻薬課のコンビ、ポパイことドイル刑事とラソー刑事の二人が、麻薬の売人を捕まえた後飲みにいったクラブで、妙に金回りの良い男を見つける。そしてその周りに知った顔の麻薬コネクションの連中。刑事の勘をくすぐられた二人は金をばら撒いていたサルを早速尾行し始める。サルとその妻はキャンディストアの経営が生業の地味な夫婦だったが、それでも追い続けるとやがて麻薬密輸入の大物ウィンストックに接触した。麻薬が枯渇していたニューヨークの現状と重ね合わせ、大きな麻薬密売ルートによる取引があることを確信したドイルは、正式に署の許可を受け、財務省から二人の応援を得て、張り込みと盗聴を開始する。そして得た情報から、サルがニューヨークにやって来たシャルニエ達と接触をしたことを突き止める。今度はシャルニエを追うドイル。しかし、尾行に気づかれた上あしらわれるドイル。しかも、今度は何者からかいきなり狙撃されてしまう。相手がシャルニエと一緒にいるニコリという男だと解り、今度はドイルが逃げるニコリを追う…。

 映画をあまり観なかった頃、それこそ中学生くらいのころから名前だけは知っていたこの映画。正直なところアカデミー賞受賞作という冠にはさして価値観を感じない自分ではありますが、それでも文芸作ではない刑事アクション映画の受賞作とくれば…と観てみた当時の第一印象は、なるほどそれっぽい感じ、といいますか、リアルタイムで公開していたアクション映画たちとはちょっと違う、格好良さを感じました。それは主人公のポパイ刑事の格好良さというわけではなく、多分この映画が評価される上での大きな要素である、飾らない現実の世界のみが発する空気と匂いを封じ込めたようなリアルなフィルムによるものでした。

 ざらざらした画面と、時に逆光で影に隠れる主役の顔。引き気味のカメラはぶれ続け、背景のニューヨークの風景は小奇麗な映画的背景ではない薄汚れた下町のそれ。何の飾り付けもせず、エキストラは何も知らない住人たちという、オールロケで撮ったそんな街中を走る刑事達の後ろ姿を手持ちカメラで追ったその映像はドキュメンタリー映画そのもので、TV番組とドキュメンタリー映画出身のフリードキン監督らしく、その映像と空気感は肌に感じる現実の匂いが立ち込めていました。なにか、黒澤明監督の「野良犬(49年/日本)での隠し撮りした闇市のシーンを彷彿とさせ、緊張感さえ感じます。先ほど、なるほど、と書いたのはそういう刑事アクション映画のその普通ではない部分がアカデミー賞の目がねにかなった部分なのかと感じたわけです。

 主役の二人の刑事もまた、間違いなくその街の住人といえるほど背景に馴染んだキャラクターでした。もちろん、実在する刑事がモデルになっていることは重要な要素だったのですが、その何かくたびれた容姿と奇麗事では世の中なんか渡れないという感じの彼らの存在と行動は、他の映画で描かれていたヒーロー的刑事たちがやはり映画の世界だけの住人なのだと思わせてしまうほどに、現実を想起させてくれたのです。

 でもこの映画、はじめて観た時は正直想像していたよりなにか随分地味に当時思えました。テンポが良く、ぐいぐい引っ張ってくれるみせ方だったのであまり感じなかったのですが、改めて考えると映画の後半までの彼らの捜査は、尾行、追跡、盗聴、また追跡、と地道に麻薬の販売ルートとそれに絡む人物達を追っていくだけです。確かに特別な仕掛けもないこれらの描写が更にリアリティを感じさものでしたが、、そんな捜査での積み重ねに耐え続けた二人の姿があったからこそ、終盤の逃げるマフィア達の道をパトカーで封鎖し、先頭を颯爽と歩いてくるポパイ刑事のその姿に爽快感さえ覚えたのでしょう。

 ジーン・ハックマンとロイ・シャイダーが演じた主役のモデルは、実在の刑事エディ・イーガンと相棒のソニー・グロッソで、彼らが1962年に暴いた2200万ドルという当時史上最大の麻薬犯罪を暴いた事件をモデルに描いています。まさにヒーローとなった彼らでしたが、彼ら二人、とくにイーガン刑事は当時の腐敗した市警に数多いた悪徳警官だったと聞きます。しかし、そんな男がモデルの主人公に喝采を送った観客達。当時の映画の主人公刑事とは一線を隔すアナーキーでアウトローなそんな刑事像であったことは間違いないのですが、当時の腐敗した警察組織からさえはみ出したようなこの主人公は、相対的に観客の大部分である庶民と同じ立ち位置と視点を持っているかのように思えたのかもしれません。

 しかし事件発覚の発端になったとはいえ、イーガンがクラブで怪しい男を尾行したのは、単に羽振りの良い男に対しての嫉妬と憎悪であって、それを追いかけたのはそんな男をいたぶってやろうとする嗜虐心で、犯罪を憎む気持ちなどではなかったのです。イーガンは好色で人種差別主義者、見境無く暴力をふるうバッチをつけたただのやくざでした。しかしそんな彼を主役として登場させたこの映画は、映画の主役でいさせるために、彼の行動を観客が許容できる範囲に押し留めていたといいます。現実をデフォルメすることが多い映画の世界のなか、ここでは現実をオブラートに包んで見せていたのです。そうでなければ、観客がスクリーンに喝采を送るほどの共感などは得られなかったのでしょうから。忘れていけないと思うのは、この映画のリアリティとはそういう類いのもので、けっして本当の現実ではないということなのです。

 この映画にアドバイザーとして参加しているそのイーガンは、劇中にも出演しています。本物の迫力なのか、ただいかついだけなのかわかりませんが、彼の存在感はさすがです。劇中もっとも威圧感のあるやくざ顔をしているのはこのイーガンでしょう。そんなイーガンが演じたのがポパイの上司役。この上司、そのいかつい顔とは裏腹に部下には厳しく当たりながら、外にはイーガンを褒め、庇い、あたたかく見守る上司として描写されます。そんな上司をみると普段なら映画にありがちな懐の深い理想の上司像として普通に受け入れられるのですが、この役をイーガンが演じていることで、まるで自分自身を褒め称え、また自分の行動を擁護しているようにも思えてきて、今考えると何かすこしサムく感じられた部分でした。

 結果的に映画の後、イーガンは警察を退職しています。その理由はあくまで些細な事務手続きの不備が原因で、その言い分もまるで冤罪のごとく当時のパンフレットには書いていましたが、彼の素行を考えると本当はさてどうだったのでしょう…?

 そういえば絶対に忘れられないシーンのことを書いていなかったのでここで少し。それはフレンチコネクションの代名詞にもなっているあの高架を走る地下鉄とのカーチェイス。これは本当に凄いと当時思いました。いったいどやって撮影したんだろうと思うほど、圧倒的なスピードとぎりぎりのタイミングで構成されたこのカーアクションのシーン。伝説化したのも頷けるその迫力は今観ても圧倒的です。

 しかし、その大迫力のシーンは、実はスタントマンの運転する主人公の車が、通行制限されてはいない公道を信号無視し逆走して撮影していると後から知りました。つまりぶつかりそうになっている車や寸でのところで前を通りすぎる車は何も知らない本当の一般人の車。そしてそんな無謀な撮影を警察が許可したのもこの映画のアドバイザーとして参加したイーガンのコネなのだというのだから、呆れる他ありません。正直、凄いと思っていたこのシーンも、こんな暴走族まがいの行為とあれば、見る目も変わります。緻密な計算と素晴らしいテクニックによって生まれたと思っていたこのシーンの正体がこんなであれば、アカデミー賞など貰っちゃいけないでしょう?

 しかしそれでもこの映画のインパクトを忘れることは出来ません。この映画のラストもまた忘れられないものでした。廃屋に逃げ込んだシャルニエを追ったポパイ。奥の部屋に動く影に銃撃するも、間違って仲間の財務省の人間を射殺してしまいます。それでも、それに一瞥もくれず逃げたシャルニエを追うのです。そして一発の銃声。突然に画面は変わり、登場人物のその後がテロップで流れます。シャルニエは未だフランスで健在だと。

 刑事アクション映画なのに、最後に犯人が捕まらないで終わってしまう。意外性を求めたのか、ただの天邪鬼なのか。観た時は元になっている実話がこうなのだから(実際はどうなのか知りませんが)、こういう終わり方も当然ありなのだろうとも考えました。しかし、制作された時代が時代だっただけに当時はそれがアメリカンニューシネマの残り香のようにも思えて、そういう意味で印象的だったなあと今は思っています。

 

 この映画で一流監督の称号を得たウイリアム・フリードキン監督。刑事アクション映画というジャンルの先鞭をつけたこの監督は、数年後に今度は「エクソシスト」(73年/アメリカ)で、ホラー映画ブームを巻き起こします。こう考えると時代の先を読めるすごい監督だった気もするのですが、それらのブームで濫作されていく映画たちは、何故かフリードキン作品の特徴であるリアリティさあまり重要視しない、映画的な映画が主流になっていたように思えます。この監督は道を拓くことは出来ても、王道には成れないのかな? なんて昔思ってたことも思い出してしまいました。

 そんなフリードキン監督、本作から十年以上経って、再び刑事アクション映画を撮ります。次回はその映画「LA大捜査線 狼たちの街」について書きたいと思います。

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ぬいぐるみと少女

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