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タイトルバック 確かにハリウッド版「新幹線大爆破」なんだけど… タイトルバック
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タイトルバック 「スピード」 タイトルバック
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タイトルバック 2011.02.01 タイトルバック
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 「市バスに乗ってスターになった男」という言葉は、アカデミー賞授賞式でプレゼンターとしてステージに立ったキアヌ・リーブスを紹介した時の前口上。いわれるとおり彼は市バスが爆弾を抱えたまま疾走する映画で一躍スターダムにのし上がりました。その映画が大ヒット作「スピード」。ということで今回はヤン・デポン監督作「スピード」(94年/アメリカ)について書きたいと思います。

 あるオフィスビルでエレベータに爆弾を仕掛け人質を閉じ込め、身代金を要求するという事件が発生。ロス市警のジャックと相棒のハリーは人質を救出し、犯人は爆弾で自爆する。しかし、生きていた爆弾犯のハワードは、今度はバスに爆弾を仕掛け、ジャックを通じで再度身代金を要求する。爆弾は時速50マイルになると最初のスイッチが入り、次に50マイル以下に速度をおとすと爆発するもの。乗客を1人でも降ろせば爆発させるという犯人の言葉から、乗客をのせたまま時速50マイル以上で突っ走るバス。タイムリミットは約3時間。なんとかバスに乗り込んだジャックは、怪我をした運転手の変わりにハンドルを握るアニーと協力し、次々にやってくる危機を回避しながら、爆弾を解体するか、乗客を脱出させる手段を模索する…。

 いつ爆発するかわからない爆弾。止まれないバス。パニックを起こす乗客。高速道路を走りながら、目の前には事故による渋滞が! 料金所が! 道がない! 等など。スピードメーターの針が50マイルに近づくたびに高まる心拍数。車も標識もなぎ倒し、ひたすらバスは走り続ける! いかにもハリウッド映画らしい、キャラクターの立った主役達にこれでもかとばかりに訪れる危機。テンポのいいサントラを背景にピンチをギリギリでかわしていく様子に否応無く高まる興奮度。さすがに切れているハイウェイを飛ぶバスには目が点になりながらも、そのバスの疾走感と迫力ある画作りで力任せに押し通す。犯人の言葉から脱出方法を考えるなど頭脳戦の要素もあり、飛行機を爆破させてのド派手な映像もみせてくれます。冒頭のエレベーターパート、メインのバスパート、ラストの地下鉄パートと3つに分けられたパートそれぞれに見せ場とクライマックスも用意し、最後のパートではいささか食傷気味になるくらいのサービス過多ぶり。何の予備知識もないままこの映画を観たら、そこそこ見つかるほころびや詰めの甘さも許せるくらい大いに興奮し楽しめる映画だったと思います。いや、実際楽しめました。劇場から出てきたときはそれなりに満足していたと思います。しかし、どうしても素直に見れない部分があったわけで…。

 自分がこの映画を知ったのは、ある雑誌に載っていた最新のハリウッド映画についての小さな記事からで、今ヒットしている映画として「スピード」のことが書かれていました。”時速50マイルに上がるとスイッチが入り、次に50マイル以下になると爆発する爆弾を積んで、止まれなくなったバスが街中を暴走する”というようなストーリーの説明にそれを読みながら「これって、新幹線大爆破じゃ…」と思ってしまった自分。それもそのはずで、最後には記事を書いたライター自身が「ーって、まんま新幹線大爆破!」とつっこんでいました。当時はまだ日本公開も決まっていなかったのではないかと思いますが、このときからすでに「スピード」と「新幹線大爆破」は自分の中では切れない関係になっていました。「エグゼクティブ・デジィション」のときは何の前知識も持たないままの鑑賞で、観ている途中で”あれっ?なにか似ているような”という感じがするだけで、わりとふつうに1本の映画として観ていたように思いますが、「スピード」に対しては「新幹線大爆破」ありきの映画として、最初から観てしまっていたのです。でも、だからといって別に斜めに観ていたわけではなく、単純に期待したことは確かです。”ハリウッド版新幹線大爆破”が見れると本当にそんな期待をしていたのです。

 ですから、やはりその類似点が気になったのはしょうがないという気はします。それでも最初は似ているところは爆弾の仕組みくらいだと思っていたのですが、これが想像以上。簡単に上げていくとまず、”時速50マイル(約80km)以上でスイッチが入り、それ以下になると爆発する”という点。まあここはメインどころだからいいとしても、設定速度まで同じとは思いませんでした。他には”犯人が本番の前にデモンストレーションで他のバスを爆破する”ところや(これもありがちではありますが)”そのバスに仕掛けられた爆弾から今走っている爆弾の仕組みを知る”という部分、また”その爆弾に使っている部品から犯人の身元が割れる(新幹線大爆破の速度計に対してスピードは金時計)”ことや、さらに”爆弾は車体の下についていて、それを解体しようとしてして一度失敗する”とか”乗客が無事に助かったことを知らない犯人に、救出前の映像を流して犯人に罠を張る”等など。ほかにも”犯人のアジトが分かって警官隊が囲んだらドカン!(新幹線〜は犯人の自爆でスピードは警官を爆殺)”なんていうのもありました。たしかに気にし過ぎの部分もあることは重々承知してはいますが、さすがにここまで来ると自分の中では純粋に楽しむという枠をこえてしまったのです。

 それでも、もともとハリウッド版新幹線大爆破を期待した自分ですから、ストレートに楽しめたのならまだ良かったのですが、それを阻害したのが犯人が行う理解できない犯罪計画。というのも、どうにもアラがありすぎるのです。もともと犯人は金目的で最初のエレベーターの事件を起こしたはずです。2年かけたというほど入念に練った計画だったはずなのに、身代金を用意させる時間も非現実的で(実際警察は金を準備出来ず、交渉の余地さえなかった)そもそもどうやって金を手に入れ、自身はどうやってエレベーターから脱出しようとしたのか、全く分かりません。しかもこのとき、なにやら物音が聞こえただけで何の確認もなく時間前にあっさりと爆破スイッチを押してしまいます。とても金に執着しているとも思えません。

 しかしながら犯人はジャックに金を奪う機会を阻止されたことを根に持って、わずかな日をおいてすぐに(前は準備に2年かけたのに)バスに爆弾を仕掛ける事件を起こします。犯人にとって金を奪うと同時にジャックにも復讐するという一石二鳥の作戦を思いついたのでしょうが、これも不思議なことがたくさん。

 まず別のバスを爆破するのですが、いつ爆弾を仕掛けたのかわかりません。運転手がバスをはなれた隙だとしても時間としてはわずかに1〜2分で、その間に仕掛けられるほどの簡単な爆弾では無かったはず。その短時間に仕掛けたかもしくは前日にでも仕掛けたのなら爆弾の仕組みが違うということに。とすればこの爆弾をいくら調べても本命のバスの爆弾はわかりません。(前もって仕掛けておいてその時はスイッチだけ入れたとも考えられますが…)

 次にジャックに電話をして本命のバスを教えるけれど、電話を途中で切ってまでバスに向かったジャックは最初間に合わなかった。市民の車を調達してまでやっと乗り込んで説明して初めてバスの運転手や乗客も状況を理解するけれど、ジャックがバスに乗り込めたこともこの段階まで爆発しなかったこともすでに奇跡的。バスの無線も犯人は切っていたのだから、バスは状況を知らないまま爆発した危険性があまりに高く、ジャックが止めた車がたまたま高級車でたまたま積んでいた電話を借りたことから仲間にも細かい状況を説明できて、犯人とも話ができたという出来好きの状況。そもそもバスが80km以上で3時間も走り続ける事ができるのか?「新幹線大爆破」では一応線路の上を走っているし、進路を確保さえすれば走り続けることは可能で、設定速度は平均速度よりも随分と遅い80km。それに対して「スピード」では事故による渋滞はともかく、料金所で止まらなくてはいけないことはもちろんですし、バスのルートを調べればいくらハイウェイといってもそれが不可能なことは分かるはず。犯人は金が最大の目的であるのだから、少なくとも金を受け取るまでは人質には生きていてもらわなくてはいけないのに、これでは計画の前提が成り立ちません。

 もしかするとまた別の爆弾による身代金事件を画策しているのかとも考えましたが、今回の犯行で犯人はすでに自分で身元がわざとばれるような証拠を残しています。警官を釣る餌といっていましたが、別に餌は別のものでもかまわないはずで、何よりこれによって自分の正体を明かしてしまったわけですから、普通に考えればこれが金を奪う最後のチャンスであると考えていたはず。(身元がわかっても捕まらなければ犯行は可能ですが、修理工や警官に変装する彼の手口からすると相当やりづらくなるでしょう)背水の陣で臨んだこの犯行であったはずなのに、周りに警官の影をみつけただけでまたすぐ爆破しようとするのです。とにかくこの犯人、演じているデニス・ホッパーが哀れにみえるくらい思慮が浅く短気です。しかも交渉ごとに疎く、わりと相手の言うことを簡単に受け入れます。自分で俺は頭が良いといっていることからも、もしかするとそういう程度の低い犯人像をわざと映画スタッフが設定したとも思えますが、犯人以外でも辻褄の合わないことが多いので問題は脚本なのでしょう。

 随分長くあげつらってしまいましたが、アイディアがオリジナルならばこのストーリーでもそんなに気にはなりません。ハリウッド製アクション映画らしいと笑って済ますことも出来ますが、ほとんど同じような映画がこの20年前に存在し、そちらのほうがはるかに整合性が高いとなると話は違います。比べてしまうとどうしてもアラばかりが目立ってしまうのです。なんといいますか、「新幹線大爆破」でも「スピード」でも映画の中では様々な障害や事故のために幾度となく危機が訪れますが、前者が実現可能は計画が不慮の事故によって危なくなるという展開なのに対し、後者である本作は元々実現不可能な計画が様々な奇跡的な偶然でうまく進行してしまうというかなりミもフタも無い展開になっているように思えるのです。

 問題の脚本を書いたのはこれがデビュー作というグラハム・ヨスト。少年時代、黒澤明監督の幻の作品「暴走機関車」のオリジナル脚本の話を父親から聞いたことが本作を書くきっかけということです。「新幹線大爆破」の佐藤純彌監督も「暴走機関車」から着想を得たらしいですから、元が同じ作品ということで似ているのも当然といわれるのは理屈には合っています。しかし、「暴走機関車」は突然暴走し始めた機関車に偶然乗り合わせた男達と外から列車を止めようとする人達の物語で「新幹線大爆破」はその暴走する理由に凄いアイディアを持ち込んでその後の展開を暴走する新幹線と犯人と警察のサスペンスにしていました。しかし、前述したように「スピード」が「新幹線大爆破」と類似している点はそのほとんどが「新幹線大爆破」のオリジナルアイディアだったり、そこから発生する犯人と警察とのサスペンス的展開であって、どれも「暴走機関車」には無かったはずの部分なのです。

 そういえばこれと同じような話は他にもあります。それはディズニー制作のアニメ映画「アトランティス 失われた帝国」(01年/アメリカ)。この映画も公開当時、その内容がかつてNHKで放送されたTVアニメ「ふしぎの海のナディア」に酷似していると問題になったのです。このときのディズニーの言い分が”この映画は「海底二万マイル」をもとにつくっているのだから似ているのは当然”というものでした。「ふしぎの海のナディア」も「海底二万マイル」が原案となっていたためのこの主張でしたが、原案というだけあって「ふしぎの海のナディア」は実は「海底二万マイル」とは内容はほとんど別物でした。そしてやはりこの両作の類似点はそのほとんどが「ふしぎの海のナディア」のオリジナル部分だったのです。しかも、原作に無いたくさんのキャラクターたちの人物設定や小道具、ヘアスタイルや服装といった、ビジュアルな部分に集中していて…。さすが他人に厳しく自分に甘いディズニー。まあ、「ライオンキング」の件もありますし、ミッキーから得られる巨大な利権を守るために法律まで変えさせしまうこの会社のやることですから、さにあらんというところかもしれませんが。

 関係無い話をもうひとつ。この「スピード」でヒロイン役のサンドラ・ブロックもまたスターになりましたが、劇中の彼女をみるといつも思い出すのが「ブルーサンダー」のキャンディ・クラーク。彼女も映画の中で運転が大好きなヒロインを演じていました。反対車線をキャーキャー言いながらハンドルをさばく様子もそうですし、なにより容姿がそっくりだったように思います。

 色々書きましたが、ぶっちゃけると気にした人間だけの思い込みかもしれません。かつて友達に話したときも「偶然でしょ」のひとことで一蹴されてしまいました。真似をしたのかしてないのか本当は理屈の通る話を聞きたいのですが、そういう透明さが少ない事が昔随分わだかまりになっていたので今回本筋以上に書いてしまったという感じです。ただ、どちらにしても、少なくとも昔の似ている作品よりはきちんとしたものを作って欲しいと今も変わらず思っています。

 

 次回もやはり爆弾ものでいきます。2大爆弾ものの要素を取り入れながら1本の映画としてハリウッド映画張りのワクワク感を感じさせてくれた邦画、「交渉人 真下正義」について書きたいと思います。

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●SCENE-041「新幹線大爆破」

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